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【乙女部】
【学園物 恋愛小説】

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【乙女部】―act.0―-3

『あの、さっきから膝抱えてるじゃないですか。保健の先生呼びましょうか?』

それでもやっぱり、怪我をしてたら…と不安になってもう一度声をかけてみる。
が、返答なし。
もう、こうなったら本当に保健の先生呼んでこよう。
そう思い、立ち上がって歩こうとした瞬間…

「だいじょうぶだから、そーいうのイイ」

すくっと彼も立ち上がった。

うわ…おっきい。
ずっとしゃがんでいて分からなかったけど、華奢な体型に予想を反してすらりとした長身だったので、はるか頭上にある彼の顔を見上げながら少し驚いた。
加えて、その整った顔立ちに釘づけになる。

…び…美形!!

端正な作りなのに、むすっとした表情のせいか少し素直じゃなさそうに見えるけど、紛れもなく綺麗な顔立ちをしている。

「…そっちは?…大丈夫なの?」

『…え?』

見とれていて反応が遅れてしまった。
変に思われたかな。

「…あんた、尻餅、派手についてたじゃん」

…あれ?意外と心配してくれてる。
言い方はそっけないけど、根っからの嫌な奴ではないみたい。

『え、あぁ、大丈夫です。そんな衝撃なかったし』

「そ。なら良いけど」

そう言いながら、彼はすっと私の横を通り過ぎ、何事もなかったかのように、階段を、今度はさっきよりも少しゆっくりと上っていった。
私もそれに習い、ぶつかったショックで落としてしまった鞄を拾い、ゆっくり階段をおりようとしたその瞬間…

「…あんたさぁ!何年生なの!?」

頭上から声が響く。
あの細い体の、一体どこから出してるのか気になるくらい大きく透る声。

『い…1年です!!』

戸惑いながら、足を止め、姿の見えないその声に答える。

暫らく沈黙が続き、トントン…と足音が近づいてくるので、音のするほうを見上げると、彼の姿が見えた。
少し怒ったような、戸惑っているような、捉えがたい表情をしている。
いったい何なんだろう。
不安になっていると、やっと彼は口を開いた。

「…あのさぁ、ちょっと付き合ってくれない?」

『はぁ?』

なに…突然。
まったく意味がわからない。
何かの呼び出しだろうか?
“1年のくせに、ぶつかりやがって!報復だ!”
…みたいな?
それにしては、言葉に悪意を感じないけれど。


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