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陶酔する中で
【その他 官能小説】

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陶酔する中で-1

(序章)

目が回りそうな早さ

大大昔は1ヶ月、
大昔は一週間、
昔は1日、
今では二時間
未来になれば一時間

遠距離恋愛でも乗り物を使えば、1日でもデートができる

だがその分、体と体がつながる時間が短くなってしまう

それじゃあ心はつながらない

それではただの自己満足

本当の快楽は、心と心が繋がった瞬間で初めて得られるもの
私は不倫している
夫は遅くまで帰らず、よく出張する営業マン
その分愛にかける時間は短く、セックスもただの生殖行為としか思っていない
だから私は子どもは作らない
彼とのセックスのときは意地でも避妊する
そのため彼は意味のないことと言い、結局セックスせずに就寝する

それでいい

これで不倫はバレない

彼とのセックスは結婚してから一度もない
だから彼は私を処女だと思っている
実際は違う
私は彼が出張中に、毎晩夜の街に出て、ナンパをされる
場合によっては出会い系をも使っている
だから私にはたくさんのセックスフレンドがいる
高校、大学と美女として通ってきた私はセックスフレンド探しとして格好の餌
たくさんの男と相手をして、
たくさんの男を気持ちよくさせて、
たくさんの男から種を絞り出している

それでも私は絶頂を迎えたことが一度もない
男が気持ちよくしている私を見て喜ぶ
そのため私は絶頂を迎えたフリだけをする
それだけで男は満足するからだ
そんな生活が音をたてて崩れ始めた
夫の会社が倒産
社長の夜逃げ
そして夫は毎日荒れた生活をしていた
毎日寝ながら、もう役にたたない経済新聞を見て
ご飯を食べながら、もう役にたたない経済情報番組を見て
すでに役にたたないことばかりを本能と言わんばかりの行動をし続けていた
そして、いつからか私は不倫をしなくなり、夜の仕事に出て行った
朝方帰ってくると、そこには散乱したビールの缶
そして横たわっていたのは、かつては幹部候補と言われた、自堕落の変わり果てた夫の姿だった
私の気配に気づいた夫は起き上がった

「帰って……来てたのか」

そういいながら、夫は冷蔵庫に向かい、ビールを二本出した
私はそんな変わり果てた夫を見て涙を流した
そして気づいていたら、私は夫の胸の中にいた


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