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刃に心
【コメディ 恋愛小説】

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刃に心《第23話・勝利を手にした敗北者》-13

「…あ〜、朝日が目に染みる…」

今日くらいは休みたかったのだが、父と母にその程度でへばるとは情けないという顔をされ、泣く泣く登校したのだった。
階段を上がったところで、ギクシャクと動くロボットのような彼方を見つけた。

「…よう」
「おう…」

互いに死にそうな声で挨拶を交わす。

「…死にそうだな」
「朝起きたら…スゲェ筋肉痛でな…。
何か…ライオンとかに食べられてるみたいだ…。
でも、出席日数がヤバくて…」
「…そうか」

それだけで互いに会話を止め、また教室までの長い道程を進み始めた。

◇◆◇◆◇◆◇

「おはよう、って大丈夫か?」

武慶にそう問われ、疾風は疲れた笑みを返した。

「あー、その辺…気をつけて…柱の足元が爆破されてて壊れてるから…」
「爆破されてて壊れてる?」
「実はな───」

◇◆◇◆◇◆◇

「───という訳だ」

楓が疾風の代わりに昨夜の激闘を語り終えた。

「それは大変だったな」
「…大変なんてもんじゃないよ…。
休日だったのにさ… なぁ、何処かにタイムマシンって落ちてないかな…?」
「疾風…それ俺じゃないぞ」

疾風に突然話し掛けられた赤の他人はそそくさと去っていった。

「それであの双子も休みか」
「間宮兄弟は休みなのか?」
「ああ。何かダルいから休むって、朝早くにメールが来やがった」
「やはり、霞に利用されていたのか」

少し安心したが、術を掛けられた反動をダルいで済ませるのもどうかと思える。

「おっはよぉー!あれ?どしたの、疾風君?」

にこにこと希早紀がいつも通りのテンションで現れた。

「ん?何か真っ白になってるね。ホ○・メンドーサみたい」
「ホ○か?矢○丈じゃなくて?」
「うん。どちらかと言えば、試合に勝って勝負に負けた感じ」
「…ハハッ…すごいな、希早紀は…。
ホントにね…灰にはならなかったけど、髪の毛は真っ白になった感じがするよ…」
「疾風君、それ私じゃなくて壁だよ」
「あー、壁か…」
「それより、かえちゃん知ってる?今日の朝ね、駅に何か厳ついお兄さん達や忍者のコスプレしていた人達がたくさんいたんだって」

ドキリと楓の心臓が脈打つ。


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