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刃に心
【コメディ 恋愛小説】

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刃に心《第23話・勝利を手にした敗北者》-14

「そ、そうなのか!い、いやはや物騒な世の中になったものだな」

誤魔化してみたものの、どう考えても昨夜の参加者達だろう。
というか、それしか考えられない。

「き、希早紀も気を付けるのだぞ」
「大丈夫だよ。こう見えても私、最近護身術を習い出したんだよ!」

そう言うと、ていっと右拳を突き出す。

「ほら、キックだってこの通り!」

疾風があっ、と言う前に希早紀のローキックが柱を捕らえた。
ガラガラ…と柱の一部が崩れる。

「へっ!?う、嘘…」

呆然とその光景を見る疾風達。
疾風達だけではない。周りの一般生徒達も思わず足を止めて、希早紀と壊れた柱に視線を向ける。

「ど、どうしよ…しぃ君!わ、私…何か覚醒しちゃったかもしれない…」
「とにかく落ち着け!そして、逃げろ!此処は俺が何とかするから!」
「で、でも…」
「早くしないと、あの融通の利かない生徒指導が…」
「くぉおらぁ!佐々、お前何、柱壊しとんじゃあ!」
「ひにゃあ!?せ、先生!?噂をすれば陰…じゃなくて!!
ち、違うんです!わ、私じゃないんです!そ、そんなに力は入れてないというか、勝手に壊れてたというか…」
「言い訳は生徒指導室でじっくり聞いてやる!」
「い、嫌ああ!し、しぃ君!ヘルプ、ヘルプミー!!」
「き、希早紀!」

連行されていく希早紀の後を慌てて武慶が追いかける。
疾風も弁解に行くべきだと思うのだが、もうそんな気力は無かった。

「…ごめん」

何とかお咎めなしとなってくれますようにと心の内で祈る。
今の疾風にできるのはそれだけだった。

「お、おはよう」
「…あー、おはようございます、チョコ先輩」

ボーッと祈っていると、今度は千夜子。

「昨日はその…あ、ありがとな。家まで運んでくれたの疾風だろ?」
「いえいえ…勝手に先輩の家に上がってしまって、すみません」
「ううん!疾風だったら別に気にしないから!むしろ、大歓迎だから!」

千夜子はぶんぶんと首と手を取れそうなくらい振った。

「で、あのさ…優勝の打ち上げって言うか…運んでくれたお礼と言うか…その…」

ゴニョゴニョと言い澱む千夜子。
疾風はそれを不思議さ半分、眠さ半分なボーとした顔で見た。
やがて、千夜子は意を決したように疾風を見つめて言った。

「な、何て言うか…き、今日ぐらいにあ、アタシん家に飯を食いに来ない?」

疾風が返答しようと口を開きかけた。
しかし、それより早く楓が疾風と千夜子の間に割り込んだ。


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