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レン
【二次創作 官能小説】

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レン-3

その日も、俺は組織の仕事にあたっていた。
現在俺の潜入している組織では、商品であるダークネスがトラックでの輸送中に何者かによって強奪されるというトラックジャック事件が立て続けに起こっていた。
それは輸出用の荷物も含めれば八度に及び、その度に運転手は殺され、ダークネスを一粒残らず持ち去られている。
そのトラックジャッカーの正体を暴き、排除する事が俺の仕事だ。
組織は本来ダークネスを輸出専門に扱っていたが、最近アゲハというドラッグディーラーにのみ国内での流通を認めた。
それが何故なのかは、秘密主義が会社の意向のせいか俺には伝わってこない。
だがダークネスの供給先をアゲハ一人に絞ると決めた以上、トラックジャックなんかで商品が横流しされるのは会社にとっては非常に迷惑な訳だ。

俺はまず、横流しされているダークネスの密売人から、トラックジャッカーをたぐる事にした。
膨大な数の情報の中からダークネスを扱っているというチェコ人の男を見付だし、俺はそいつが姿を現すという都内のカジノバーに向かった。

カジノの音が響く中、俺はそれとなく店内を見回す。
すると俺の視界には想いもよらぬものが飛込んできた。
カウンターに並ぶストゥールの一つに腰を下ろし、グラスを傾ける女の姿。
そう、それは忘れる事の無かったあの声の持ち主。
カウンターに右手を使って頬杖をつき、空いている左手で髪をかき上げる彼女は、さりげなく店内を見回し誰かを探している様だった。
外国人が殆んどを占めるこの店内に、彼女の姿は良く馴染んでいた。
俺は離れた位置から彼女の様子を伺う事にした。
恋人と待ち合わせをするには不似合いなこの店で、彼女は何をしているのだろうか?
俺の読みが正しければ、俺と彼女の目的は同じ男だろう。
俺は犯罪組織の人間として、彼女は司法機関に身を置くの人間として、同じ男を探しているのだ。
暫くすると彼女の元にブロンド髪の男が近付いた。
そして何事かを話すと、店の2Fへと続く階段を登って行った。
このカジノバーの2Fから上は個室になっている。おそらく二人はその個室へと向かったのだろう。

俺は少しの間を置き、二人の後を追った。
すると階段を登りきった所で、俺は先程のブロンド髪と出くわした。
『一緒にいた女はどうした?』
そんな問いに男は、
「さっきの美人がお目当てかい?」
そう言って薄ら笑いを浮かべると更に続けた。
「残念だろうがあの女は止めときな、あれは麻取の女だよ。うちの兄貴が昔パクられてたらしく、大分ご立腹だ。今頃、お楽しみの最中だろ。」
俺はその言葉を聞くなり、ベルトに留めておいたナイフを引き抜いた。
『死にたいか?』
引き抜いたナイフをブロンド髪の喉元に付きつけると、そいつはあわてて1Fへと降りて行った。
どうやら彼女はまたもや、まずい事に巻き込まれてしまったようだ。


この時俺は君を心配する反面、君の正体を知りたいという気持ちを抱いていた。
これまでにも日本の麻取の人間に会った事は幾度もあったが、君の様にここまで自らを危険に晒す事が出来る捜査官はいなかった。
しかも自身で現場に赴いて内偵にあたる女など、日本の麻取に限らずともなかなかお目にかかる事は出来ないだろう。
そんな君の行動が勇気から来るものなのか、ただの無謀から来るものなのか、俺は知りたかった。
それにもしかしたら俺は君に、自分に似た物を感じていたのかも知れない。


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