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レン
【二次創作 官能小説】

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レン-4

俺は個室の並ぶ廊下を進み、中に人の気配がある個室を見つけた。
その鍵のかけられていない扉を、音をたてない様に静かに開く。
するとその部屋にあったものは、全裸で四ん這いにされた彼女と、今にも彼女を貫こうとしている男の姿だ。
その男はロシア系白人で、まさに俺が捜していたダークネスの密売人だった。
俺はこちらに背を向けている二人の背後にそっと忍寄り、手にしていたナイフで男の喉を切り裂いた。
右の手首と左の足首をプラスチックの手錠で後ろから繋がれ、床に伏せていた彼女の背中には男の血がふりかかった。

男は切り裂かれた喉に手を当て、ぶざまな格好で体を泳がせていた。
「………………」
口を開け、言葉を押しだそうとした男の喉が鳴り、喉の裂目で血が泡立った。
男はゆっくりと体を倒し、痙攣してから絶命した。
彼女は体を転がして俺の姿を見とめると、床に横たわったまま俺を無言で見上げた。
死んだ男の上着を手に取り、手にしていたナイフの血を拭って刃を畳むと、彼女は言った。
「手錠の鍵が何処かにあるはずだわ。探してくれない?」
少しかすれてはいるが、やはり俺の脳裏に焼き付いたあの声だった。
俺は死んだ男の上着から鍵を見つけだすと、彼女に放った。


彼女が左手で手錠を外すのを見届けると、俺は彼女を試す為の台詞を吐いた。
『知り合いか?それとも只の強姦か?』
こんな言葉を投げ掛けられ、彼女はどんな答えを口にするだろうか。
素直に麻取であることは明すのか、それとも…。
「この男から仕事を受けたの。」
彼女は麻取であることを隠した。
もちろんそれは、最も賢明な判断だ。
彼女は俺の正体を知らない。彼女が俺の期待通りの女であれば、彼女は俺の正体を知るまで自らの正体を明かさないだろう。
『運び屋か?』
俺は彼女に話を合わせた。
それは俺のある計略の為に。
「そう。」
俺は確信した。彼女が俺と同じ種類の人間である事を。
それはもちろん人種や職業を指す訳ではなく、互いの内面的なものだ。
『この男は泥棒だ。俺の会社から商品を盗んでは勝手に売り捌く。君が運んだのもきっと俺の会社の商品さ。俺はこの泥棒を殺す社命を請けてここに来た。しかし、たまたま部屋には犯され、殺されそうな美女がいて、その美女の命を救った。』
俺はふざけた口調で言った。
俺が“美女”という言葉を口にした瞬間、彼女は不機嫌な顔をした。
「こいつがこんなにケチだとは思わなかったの。あたしは只の運送屋だけど、もらうものもらえないと生きてけないわ。」
彼女は不機嫌な表情のまま言った。
だがその演技は完璧だった。
彼女の本当の姿を知らなければ、俺もその話を鵜呑みにしていただろう。
『運びの腕に自信はあるか?』
「何なの?あたしに仕事でも頼む気?」
俺は頷いた。
『昔から、本物は見ればわかるんだ。』
そう、彼女は紛れもない素晴らしい才能を持っている。
「何の本物よ、ナンパだったらお断りよ!」
『それも魅力的な事だが、うちは今人材不足でね。こいつみたいに踏み倒す事もない。大きな会社だ。』
「どうだか。」
『とりあえず、話だけはきいてもらおう。俺は君の命の恩人だ。』
俺は言いながら床に散らばった彼女の服を拾った。
『場所を移そう、おれは蓮だ。君は?』
「レイラ。」
『やはりロシア人か。』
彼女の名前を聞き、俺は以前からの疑問の答えを導き出した。
彼女の完璧なロシア語や顔立ちは、きっとロシアの血が流れている故なのだろう。
俺は拾った服を彼女に手渡した。
だが彼女が受け取った服を着る事は無く、すぐにこう言った。
「ここを出る前に私を抱いてくれない?震えが止まらないの。」


俺は彼女の願いを受け入れた。
だがそれは彼女への想いからではない。
彼女もまた、俺への想いで抱かれる事を望んでいる訳ではないだろう。


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