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レン
【二次創作 官能小説】

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レン-2

「助けてくれたの?」
車が大通りに差し掛かった頃、助手席の彼女が口を開いた。
『あぁ、何故あんな事になったかは知らないが、奴らは俺の商売敵でね。する事全て邪魔したくなる。ま、お陰でこんな美女を救えた』
俺を警戒している様子の彼女に、俺はとぼけて答えた。
「そう、ありがとう。」
見ず知らずの俺に訳も解らぬまま助け出された彼女が、俺に警戒心を抱くのも当然だろう。
車を走らせながら僅かに横を向くと、真っ直ぐに進行方向を見つめる彼女の横顔が目に入った。
肩胛骨の辺りまで伸びたストレートの栗色の髪、その髪に縁取られた小さな輪郭、はっきりとした眉に長い睫、透き通る様に綺麗な瞳、高く通った鼻筋、艶のある口元。
そんな彼女には何処か日本ではない異国の血が流れている様だった。

俺はその後も多くを語らず、彼女を都心の駅近くで降ろした。
そして駅の方向へと歩き雑踏に紛れていく彼女の姿が見えなくなると、俺は車を発進させた。
『“ありがとう”…か。』
そう言った彼女の言葉を一人呟き、彼女のその声を思い返した時、俺はハッとした。
俺はその声に聞き覚えがあったのだ。
そう、その声は数ヶ月前まで受話器を通して聞いていた、あの透き通った声と全く同じだった。


それに気付くのがあと1分早かったなら、俺と君の運命は全く変わっていたかも知れないな。

君との初めての出会いの後、俺はINCからある任務を言い渡された。
それは君も知っての通り、ある麻薬犯罪組織への潜入捜査だった。

数年前にアメリカの提唱で設立されたINC=インターナショナル・ナルティコックス・コントロール【国際麻薬機関】が俺の所属する機関名。
INCの任務は、主に麻薬原産地の衛星による監視、製造、密売組織の実体調査などであるが、時にはDEA【連邦麻薬取締局】の様に麻薬犯罪組織への潜入捜査を行う事もある。
それには潜入捜査の為に必要な知識の教育や、技術の訓練を受けた特別な捜査官があたる訳だが、俺もその捜査官の一人だ。
俺が潜入を命じられた組織はダークネスという合成麻薬を他組織から仕入れ、それを国外各地に輸出している比較的巨大な犯罪組織。
潜入の目的は組織の実体調査とダークネス製造組織の解明。
その組織にアンダーカバーという正体を隠したまま無事潜入を果たした俺は、月日をかけて組織の流通を司る部長という組織内でも上位に位置する立場を手に入れた。

部長という立場になってからも、俺はINCのアンダーカバーという正体の露見を防ぐ為、組織中で与えられた仕事をこなしていた。
組織の商品であるダークネスの運搬に始まるその仕事は殆んどが刑事訴追の恐れがある犯罪行為であったが、それらはINCが全て緊急避難措置として刑事訴追を免除している。
だが潜入捜査中に俺がそれらの仕事を利用し、私腹を肥やす様な事があれば、INCは真っ先に俺を見放すだろう。

俺はここまでINCからの咎めを受ける事も、大きな問題にぶつかる事もなく任務をこなしていた。
だがこの組織は酷く閉鎖的な傾向にあり、部長という立場でも全容を掴む事は困難だった。
君と二度目に出会ったのは、捜査に息詰まりを感じ始めていたそんな時だったんだ。


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