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シスコン
【コメディ 恋愛小説】

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シスコン『第八章』-5

翌日
秋冬は学校にくるのが遅い。
いつも遅刻寸前の時間にとぼとぼ歩いてきている。たまに気紛れに早いのだ。その気紛れに、件の掲示板事件が重なったのだ。
秋冬は始業二分前に教室に入った。これでもまだ早いほうで、いつもはチャイムがなった瞬間教室のドアを開ける。
「おはよー。」
千里が秋冬に言った。
「おはよ。」
秋冬が微笑む。
「今さっき北川先輩がきたよ。」
千里が言う。元彼女に先輩付けは、千里が完全に思いを断ち切ったからか。
「北川先輩が?」
秋冬が不思議そうに返す。
「うん。暇があったら生徒会室にきてほしいって。」
「そっか。じゃあ行かなきゃな。オレはいつだって、暇そうに見えるらしいし。」
秋冬が苦笑する。始業のチャイムが鳴り響く。
「暇そうにっていうか、実際暇でしょ?」
千里が笑う。そうだなと、秋冬も笑った。





「で、用事ってなんすか?」
生徒会室に秋冬はきた。一時間目が終わって、その休憩の時間にきたのだ。秋冬は、こんな中途半端な時間にはさすがにいないかとも思ったが、予想に反して北川は待っていた。
その事を北川に言えば、私もいつも暇なのと返ってきた。
「これの事。」
北川は二枚の紙を出した。一枚は、先日の掲示板事件の事。
秋冬はその紙を手に取った。
「これっすか。事実っすよ。」
「そ、じゃぁこっちは?」
二枚目の紙。それにはこう書かれていた。
「『二年の北川舞と一年の幾間千里は付き合っていた!』…。これって?」
秋冬は北川を見た。北川は秋冬にイスに座るよううながす。秋冬は素直に従う。
「これね、学校の掲示板に貼ってあったの。」
秋冬は特に驚かなかった。
「そうなんすか。それで?」
「誰がこんな事したか、知らない?」
秋冬は首を縦に振る。
「知らないっすよ。」
北川は溜め息を吐いた。そして、自分も座る。
「それ、誰かに見られました?」
「さぁ?私朝一で学校くるのが日課なの。その間に誰かに見られてなかったらいいけどね。」
北川が微笑む。それを、秋冬は綺麗だと思い、そして悲しそうだと思った。
「なにを心配してるんですか?」
秋冬が言った。
「決まってるわ。千里と、その彼女よ。」
「…へ?」
「千里って秘密主義だから、元彼女が学校にいる事話してるはずないもの。千里の彼女がそんな事知ったら、少なからず私を気にするでしょう…?」
秋冬はうなずいた。
「じゃあ先輩、なんでオレには全部話したんすか?」
「それはね、君が紙を見た時そんなに驚かなかったから。」
「…はい?」
秋冬は、よく意味がわからなかった。
「知ってたんでしょ?私と千里が付き合ってたって。」
授業開始のチャイムが鳴る。それに二人は全く反応しない。
「知ってました。」
「でしょ?…千里ってね、信用してる人にしか自分の事喋らないの。千里は君を信用し、信頼をおいているのね。」
秋冬は、何故か悔しそうに言う北川が気になった。


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