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十六の春
【純愛 恋愛小説】

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十七の秋〜ヨイモミジ-2

木の下で立っていた女の子は俺の言葉が聞こえたのか、こちらに目を向ける。

白い肌も、腰まで届く長い黒髪も、雰囲気までなにもかもが真理に似ていた。


『吉岡先輩……ですか?』


突如として、向こうから声をかけられた。


「あ、あぁ……そうだけど」


何故この子は俺の名前を知っているのだろうか。そんな当然の疑問を考えていると、向こうから答えを提示してくれた。


『私、先輩と同じ高校の一年で真山…真山梨花って言います。』


同じ学校ということでとりあえず謎は解けた。しかし、もう闇が降り始めているこんな時間帯に、彼女はなにをしていたのだろうか。

とりあえず立ち話もなんなので、俺たちは近くにあるベンチに腰掛けた。


「梨花ちゃん、でいいかな。君もこの中学出身なのかい?」
『はい。彼氏に呼び出されて……ふられちゃいました』


しまった、と内心で舌を打つ。

確かに何かしらの用がなければ、普通こんな所へは来ないだろう。


『大丈夫ですよ。薄々わかっていましたから』


余程顔に出ていたのだろう。梨花ちゃんに言われるまで気付かなかった。彼女は、ぽつりぽつりと自分のことを喋り始めた。


『去年の冬に、この木の下で告白したんです』
「へぇ……」


相槌をうちながら、あまりにも酷似している状況に心の中で苦笑する。

俺が真理に告白したときと一緒じゃないか。


『先輩達の真似をしたんです』


ちょうど自分の考えと梨花ちゃんの言葉が重なり、ドキッとする。


『吉岡先輩と早瀬先輩は噂になってましたから』
「そうなんだ…全然知らなかったよ」


ちょっとした気恥ずかしさが襲う。あれ見られてたんだ……。


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