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十六の春
【純愛 恋愛小説】

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十七の秋〜ヨイモミジ-3

『そういえば、今でも早瀬先輩とは付き合ってるんですか?』


俺の顔を除き込みながら彼女は尋ねてきた。別に隠すことでもないが、真理が事故にあった以外のことを簡潔に伝え、今は連絡が取れないと話した。


『そうなんですか……』


梨花ちゃんは複雑な表情を浮かべながら何かを考えている。少しすると、おずおずと話しかけてきた。


『あの…元気出してくださいね』


彼女のどこか申し訳なさそうな表情が、過去の記憶を呼び起こす。


勇、ごめんね……。


あいつは、俺が初めての彼氏だったらしく(俺にとっても初めての彼女だったが)、遊びや買い物に行く時に真理は自分の行きたい所へ行くと、いつも帰りは申し訳なさそうにして謝っていた。

俺は真理と一緒にいられればそれでよかったのだが。

そんな時の真理の顔と、今の梨花ちゃんの表情が見事に重なっていて、俺は思わず笑ってしまった。


『ど、どうしたんですか?』
「いや、なんでもない」
『えぇ〜!教えてくださいよぅ』
「だ〜め」


なんでこんなにも安心するんだろうか。

決まっている。真理に似ているからだ。

もし神様がいるのなら、なんて意地が悪いのかと思う。



何故今俺の前に、こんなにもあいつに似た女の子を出すんだよ。

そんなことされたら俺は……。



二人で話し合っているのを、ただ宵紅葉だけが静かに見守っていた……。


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