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10年越しの約束
【初恋 恋愛小説】

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10年越しの初恋-7

「まっ、松田っ!ちょ、ちょっと…ま、待ってっ!ダ、ダメ…だってばぁっ!あ゛ぁっ!」
ゼェゼェとした感じの声と共に、教室のドアが威勢良く開けられる。
そこに立っていたのは、松田君…そして、遅れて絢音が顔を覗かせる。
絢音は走ってここまで来たみたいで、息を切らして荒い呼吸をしている。
(さっきの足音って、絢音のだったのかなぁ?)
「あっ、絢音…大丈……」
『大丈夫?』と言って絢音に駆け寄ろうとした途端、私は光輝君に腕を掴まれて止められてしまった。
それを見た絢音が掌を胸の前辺りで広げて、『止まれ』だか『大丈夫』だか…どちらにも採れそうなジェスチャーをする。

(あれ、皆…どうしたの?)
私は違和感を感じて、皆の顔をキョロキョロと交互に見比べてみた。
口元だけに笑みを浮かべている松田君…睨む様に松田君を見ている光輝君…疲れ果てている絢音……
まぁ、絢音の事はさて置き…この場の空気が、妙にピンと張り詰めている。
(何?コレ…)
私には、この状態をどうしたら良いのか分からない。

しばらくオロオロしていると、松田君が光輝君を見据えて口を開いた。
「俺は退くつもり無いから。」
(松田…君?何…を……)
何が起っているのか全く理解出来ていない私でさえ、その言葉の響きにに背筋が氷ついた。
低く、そして攻撃する様な松田君の声は、私達4人の間に冷たく渦巻く風を吹かせたの。

私に…得体の知れない不安を抱かせながら……


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