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お見合い=出会いの場?
【コメディ 恋愛小説】

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お見合い=出会いの場?-3

「そんなに深く考え込まなくても良い。率直な意見を聞かせてくれ」
腕を組んで考え込むオレを見かねて彼女はそう言った。
「……オレも、半分は母さんに押し切られて来た……けど」
「半分?もう半分は何だ?」
う〜ん………。言ったら失礼じゃないか?
しかし彼女は『率直な意見』が欲しいって言ってるし。
えぇい、良いや。言っちまえ!
「……写真に写ってたのが美人だったんで」
「え……?」
うつむき加減でそう言うと、彼女の意外そうな発音が耳に入った。
「今まで、そんなに女の子に縁のある生活してきたわけじゃなかったし、お見合いも言うなれば『出会いの場』ってヤツだと思ったから」
女の子にしてみれば、失礼なことかもしれないが、率直な意見を言うとこうなったのだ。
「そ、そうか。私が美人……。それにそういう考え方もあったな。……ふむ」
彼女が何やら言っているので顔をあげてみると、拳を顎に当てて、考え事をしている彼女が見えた。よほど集中してるのか、唇が僅かに動いている。
あれ……。影になってちょっとわかりにくいけど……顔が赤くないか?
ひょっとして、照れてんのかな?
話かけることもできず、数十秒の時間が長く感じられた。
「よし、決めた」
何かの決意を秘めた表情で、彼女がオレをまっすぐに見る。写真で見た時から思ってたんけど、彼女はやたら目力がある。ちょっと怯んだ。
「な、何を決めたんだ?」
「何、大した事じゃない」
そう言って彼女は僅かに微笑み、続けて言った。
「どうか私を、もらってはくれないか?」
で、最初に戻る訳だ。


「おーい。どうした、ボーっとして」
「おわっ!?」
脳が現実逃避してる間は目も上手く機能しないらしい。いつの間にか、彼女が目の前にいた。
「あ、すまない……」
「えっ、あ、こちらこそごめん」
少し傷ついた顔をさせてしまった。
「……でだ。私の、お願いの件だが」
「いや、オレなんか選んで、あとで後悔しても知らねーぞ」
「大丈夫。私は常に未来を見ている。過去には拘らない主義だ。無論、君の過去にもな」
「拘られる程の過去は持ってねぇよ」
オレ、橘 辰也は17年間、平穏に暮らしてきました。
「大体、そんなに深く考えて言った訳じゃないぞ」
自慢に全くならないが、オレは全然思慮深いタイプじゃないのだ。
「それだけが理由ではない」
……いや、そんな急に顔を赤くされてもね。
「私は見ての通り、目力がやたらとある上に目つきも鋭い」
あ、自覚あったんだ……って失礼だな。
「加えて、背も低い。男に……綺麗だと言われたのは、さっきが初めてだったんだ」
…………へ?
「嘘だろ?」
「私は嘘が嫌いだ」
目に力がある。
『目は口ほどに物を言う』とはよく言ったもんだ。彼女の目はまっすぐこっちを見ている。
「幼少の頃は『狐っ子』と呼ばれていた。さすがに成長してからはなかったが、声をかけたりしてくるのはほとんどいなかった」
もったいない事だ。
「だからだ。私は初めて綺麗と言ってくれた君に嫁ぎたい。はっきり言って、私は君に惚れた」
「ほ、惚れたって……」
いやいやいや。そんなにストレートど真ん中の豪速球で来られたら、キャッチャーとしてもですね、受けるのが難しいと言うか。
オレの心理状態は、豪速球を受けたら審判ごと後ろに吹っ飛ばされたキャッチャーの心境に近いものがあっただろうな。


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