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僕とお姉様
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僕とお姉様〜会いに行く〜-4

僕を思ってこんなに泣いて、ほとんど期待通りじゃないか。まぁ勝手に模様替えしちゃう心理は理解できんけど…、いっか。
許すよ、全部。
僕の胸に顔をぴったり付けてわんわん泣いてる。この角度から見るお姉様はどこか新鮮で、頼られてる気がして嬉しかった。

「ごめんね、もう嘘つかないから。嫌いにならないで…」

僕がどんなに頑張ったって嫌いになれるわけないのにそんなお願いをする。

「もういいってば」
「…嫌いじゃない?」
「うん」
「怒ってない?」
「うん」

お姉様は恐る恐る顔を上げて僕を見た。そして表情で怒ってない事を確認するとまた抱きついてくる。

「ありがとう、山田」
「はいはい」
「大好き」
「…はいはい」

まったくこの人は…、好きな男いるクセにそんな事言うなよな。
でも、もうしばらくこのままでいたい。服越しに伝わる温度を感じていたい。
ずっと行き先を求めて宙をさまよっていた僕の両の手のひらは、そっとお姉様の背中に添えられた。


こうして僕の家出は予定の半年を大きく下回って終わった。
さぞかし母さんはがっかりするだろうと思いきや、

「ふぅん、分かった。じゃあ花嫁修業もやーめた」

そう笑っただけ。
やっぱり嫌々家事やってたんだな。これは二度目の離婚もありそうだ。
結果、母親より好きな人を選んだ親不孝な僕。でも母さんには悪いけど、僕にはお姉様が必要なんだ。
生活の価値をガラリと変えてくれる人。
どうかこのまま、できるならずっと側に…
僕だけのお姉様でいてほしいんだ。


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