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はるかぜ
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隣人は雨の香り-3

「ひとやすみしよー」

ころんとベッドに寝転がるとふわっと洗剤の香り。
どうやら母が洗濯してアイロンを掛けてくれたらしい。

「母さんの匂い」

寝返って枕に顔を埋める。


しばらくそうしていてまた涙が零れそうで立ち上がった。

「まだ片づいてないんだから」
気を取り直してシーツが入っていたダンボールの中身を片付けにリビングに戻る。

ダンボールの中にはカーテンや小物類が入っていて、それらを全部取り出すと底から綺麗な包装紙に包まれた小さな、国語辞典程の大きさの箱が4つ出てきて、その上に4つに折られた紙が乗っていた。

「あれ?こんなの入れてない」

首を傾げながら紙を取り広げるとそこには母の文字が。

『両隣りと上下の部屋には挨拶に行きなさい。いつでも困ったら母さんの所に頼ってきていいからね』


紙を持つ手に力が入る。いつの間にこんなもの入れたんだろう。

「こんな事してくれない方がいいのに」

紙を力任せに丸めて床に投げつける。それは床で一度跳ねて転がった。

それでも、母の言うとおりかも知れない。

小物類の中から壁掛け時計を出して時間を見る。
まだ21時。

「とりあえず、お隣さんから行こう」

箱の中から2つ包みを出して手に持ち、洗面所で軽く髪を直した。



玄関を出て部屋に向かって右側の人は夫婦で住んでいるらしかったが、私が一人暮らしだと説明すると不信そうな顔をしてから追い返すように玄関のドアを閉められた。

「都心の人って怖い」

神奈川県の少し田舎から出てきた私には少しショックだった。

気を取り直して反対側のお隣さんのドアの前に立つ。

ため息を吐いてからインターホンを押す。この部屋の人もさっきみたいだったら嫌だなあ。

そんな風に思って待つが一向にドアは開かず、もう一度インターホンを鳴らした。


5分くらいしただろうか。諦めて部屋に戻ろうとして歩き出し、自分の部屋のドアノブに手を掛けた時、背後から声が掛かった。


「……今鳴らしたのあんた?」


明らかに声が不信がっている。
慌てて振り向き小走りで近付く。

お隣さんの玄関先に立っているのは背の高い男の人で髪が長くて胸の辺りに張り付いていた。
胸も白くて肌が綺麗で……というか、その人は上半身裸で腰に白いバスタオルだけ巻いていた。


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