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終わりの合図と見知らぬ唄と
【青春 恋愛小説】

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『忘難き時間と知った歌と 前編』-2

テクテク、ボトン、コロコロコロコロ…カコンッ
夏木サンの投げたボールはパタパタとピンを倒して行き遂には8本も倒してしまった。
残念ながら2投目はガータになってしまったものの、開始8ピンはまずまずのスタートらしい。
そして遂に私の出番。 緊張の波が頂点に達する。

「あれ? 緊張してる?」
いつも私の困ってる時は気を使ってくれる藤原君。 どんな時もこれ以上ないタイミングで話しかけてくれる。
「大丈夫大丈夫。 あの手前の▲狙ってみて? きっとうまく行くから」
心がスーッと静かになる。
藤原君の言葉はまるで魔法だ。 私がいつも幸せな気分になる魔法。



「おっしゃぁ!!きたぁぁ!!」
「やるなぁ!ちくしょう負けられない!」
異様な盛り上がりを見せる男性陣。
「すごいね、向こう側。」
「そうね、まぁいつもの事なんだけどね」
「ホントに仲いいなぁ藤原君と青木君。 子供みたい」
仲むつましい二人を見ると私の入るスキなんかないようにみえる。
「かわいいなぁ二人共。ホント無邪気」
「ねぇ…柳サン?やっぱりマコトの事好きなの?」
「ふぇぃ!?!?」
いきなり核心にせまる質問に私はなさけのない声で答えてしまった。
「あ〜ごめんごめん。 で、どうなの?好きじゃないの?」
「えっ?いや、好きとか…そんな」
「じゃあ好きじゃないの?」
「いっいや!好きじゃないと言えば…ウソに…な…る…」
「じゃあやっぱり好きなんだ」
「……うん////」
顔が真っ赤。 耳まで熱い。 心臓がバクバク言っている。
「な…んで…? なんでわかったの?」
「誰でもわかるよぉ。 マコトを見る時だけ違う眼してるもん」
「ほっホント? 私、そんな変な眼してる?」
「いや? 変な眼と言うよりかわいい眼? こうキラキラしててまぶしいくらい」
「やだ… 最悪……!!」
バレるなんて思っても見なかった。 逆にいつ相談しようか迷ってたくらいなのに。
「いつから? いつから好きなの?」
「いっいつからって… 気が…ついたら…こう…」
「好きになってた?」
「………うん////」
クスクス笑いながら質問してくる夏木サン。 完璧私の反応を楽しんでる感がある。
「大丈夫大丈夫。 マコトはにぶいから気付かないよ。 まぁシンゴはたぶん気付いてるはずだけど」
「シンゴ君も!? はずかしぃ…」
「大丈夫だってぇ!口は堅いから安心しなさい! それに相談のるよ?」
うれしい。相談にのってくれるなんて言われた事ない。うまれてこのかた一度も。
「うん! ありがとう!夏木サン!!相談するね?」
「まかせなさい! マコトの事なら大概はわかるんだからあっちなみに千秋でいいよ!」
心強い味方できた瞬間だった。
気付いてみればボーリングも終わっており、初めての親睦会も中盤戦へと移るみたいだった。
ちなみに結果は青木君に軍配。487対490で3ピン差とせまる大接戦だった。 私のハイスコアは113。初めてにしては上出来らしい。 千秋チャンは139で女性にしたら高めだそうだ。

「次どうすっかなぁ…? なんか行きたいとこある?」
「なに言ってんだよ、幹事お前だろ?考えてこいよ」
どうやら次の行き先を決めてるみたい
「ん〜やっぱカラオケでいっかぁ〜すぐそこカラオケボックスあるし、一時間無料券もあるし。」
カラオケ…
「カラオケね…やっぱこうなるか… どうする?千秋?柳サン??」
「私はかまわないけど? マコトとシンゴと行くのひさびさだし」
「私は…どこでも。…まかせます」
やんわりと返す。 だって本当にどこでもいいんだもん。 その後千秋チャンにしかられたのは言うまでもない。



カラオケは別に初めてって訳ではない。だけど前に来たのは小学生ぐらいだった様に思う。その時は家族で。 友達と一緒なんてのは結局初めてだ。


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