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明日になれば他人
【その他 官能小説】

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明日になれば他人-2

約束の日まで、十威とメールしたり電話したりした。もちろんクラブを経由して。
あの予約フォームに、私が今まで憧れてきた理想の恋愛や恋人の性格まで多々と書き込んだから。
十威が少しずつ甘々と叶えてくれた。
3月いっぱいで退社する。
貯金もある。
美容室に行って、服を買って、エステして…今までなりたくてなれなかった自分になろう。


約束の日。
駅前で待ち合わせ。
街中の女の子が、…男性までもが十威に振り返った。
「樹里、待った?」
とびきりの笑顔で、まっすぐ私を目指して来る。
ちょっぴりの優越感と独占欲。
(私の彼だもの…!)
今日だけは…。
今日だけは…ね。


デートは楽しかった。
不倫していた間は、昼間堂々と手を繋いだり腕を組んだりできなかったから。ちょっとしたショッピングさえも…。
常に人目をはばかるように遠くへ行ったり、SEXだけで済ませたり。
だけど愛していた。
彼の言う愛に本気になった。
だけど淋しかった。
馬鹿だね。
そんな空しさを払拭したくて、十威とはたくさん話した。笑った。
心がふんわりと、癒されてゆく自分がわかった。
嬉しかった。


十威に抱かれた。
昨日までの自分にさよならするために、優しく丹念に時間をかけて。
不倫彼は時間を気にして、いつもそっけなくあっけなかったから。
最初の頃はあんなに甘かったのにね。
気持ちいい余韻に浸る間もなく、彼は背を向けて身支度を整える。
帰れる家がある、家庭がある男はずるいね。
こんな自分がみじめで情けなくて泣いた夜も数えきれない。
どうして彼を愛したんだろう…。
今じゃ不思議。
十威の若くて張りのある体に包まれてホッと安心できた。
何も気遣う必要もない。
誰かの顔色を伺う必要もない。
ただ、ただ、私が望むままに…十威が与えてくれる。
私が用意したシナリオ通りに。
「樹里、好き。愛してる」


ああ…
上辺だけの囁き。
営業トーク。
営業スマイル。
本気じゃないとわかっているのに泣けてしまう。
一度好きになってしまえば、未来まで求めたくなる。
それが女のセンチメンタル。
だけど、この恋は叶わない。最初から叶わないとわかっている。
傷つきたくないと思いながらも、何ひとつ傷つかない愛なんてない。
プロの十威にはよくある仕事柄。きっと何でもない。
もう誰かを想って期待するのは疲れた。
不安がるのも疲れた。
安定した未来が欲しい。
だから、何も求めない。
何も期待しない。
今があればいい。
「私も…愛してる…」


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