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ツバメ
【大人 恋愛小説】

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ツバメA-3

「えー!福岡さんに会ったの!?」
『!』
「うん、さっき廊下で!」
「どうだった!?」
「やっぱりオーラが出てるわ」
「きゃー!」
『……』
あえて福岡くんと話したことは言わなかった。
それにしても、そんなオーラなんて出てたっけ?普通の大学卒の新人に見えたけどな。

勤務終了。
なんだか意外にあっさりしている気がする。やっぱりキツいけど。
まあ今のところいい人ばかりだし、何とかやっていけそうだ。


帰宅途中の駅のホームで電車を待っていると、横から鋭い視線を感じた。
『……』
「……」
なにこいつ。絶対見てるよね。
あたしが目を合わせても、そいつは全く視線を逸らそうとしない。
色黒で髪は短くて明るい色。目は鋭い。
『……』
仕方ないので別の場所に移った。
追いかけてこなかったので一安心。
でもあいつはなんだったんだろ。疑問だけが残った。



翌日からも毎日毎日ひたすら仕事に励む。
「綾瀬くん、このコピー、四十枚よろしく」
『はい』
椿芽の前で、業務用の大きなプリンタがゴウン、ゴウンと重厚な音を立てている。
『……』
燕のやつ、最近めっきり顔を出さなくなったけど、どうしてるんだろ。
やっぱり彼氏だし、気になるものは気になるんです。


その日の仕事を片付けた後、燕に電話をかけてみた。
「椿芽ちゃん?なぁにぃ?」
予想外。
ワンコールで電話にでるなんて奇跡も奇跡、スーパーミラクルだ。
九回裏、二死満塁でのダイビングキャッチ?
延長PK戦でのスーパーセーブ?
それとも……
そう、あたしは運動音痴ながら、かなりのスポーツ観戦マニアで、スポーツ中継は暇があれば、スポーツニュースは毎晩欠かさず見ているのです。
「おーい、切るよぉ?」
『あ、ごめん、元気?』
「え?うん、元気だよ?椿芽ちゃんは?」
『うん、元気』
つい最近まで、ほとんど毎日会っていたから、こういう会話がなんだか新鮮だ。
『今なにやってるの?』
「今ね、電車待ってる」
『じゃあさ、久し振りに家に来ない?』
「いいよ」
この素直さは…またなにかやらかしたか?
『じゃあ待ってるね』
「うん」
電話を切った後に、財布の中身を確認する。
問題ない。
『よし!今日はあたしがご馳走作ってやるか』


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