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キズ
【純愛 恋愛小説】

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キズA 〜変わる日常〜-3

『有栖へ』
そろそろお昼になるけど、昼ごはんはどうするの?

(あっ!!そうだった。優ちゃんとお昼食べる約束してたんだ。…………村尾君はお昼どうするのかな)
「ねぇ、村尾君そろそろお昼だけど、昼ごはんどうするの?」
「そうですね、……少し弁当でも食べます。少しでも栄養があるもの食べたいですしね。高見さんは、そろそろ教室に行かれた方が良いんじゃないですか?」
「まあ、そうなんだけどね。なーんか今日は行くきしないんだよね〜…………ところで今日一緒にご飯食べて良い?」
「誰かと食べるんじゃないんですか?」
「大丈夫!!いつも優ちゃんと二人で食べてるからそんな人数もいないから大丈夫だよ。二人が三人になるだけだし。………迷惑かな?」
「風邪がうつると不味いんで風通しが良いところで、食べませんか?」
「やった、良いんだね。それじゃ屋上行って食べようよ」
「はい、良いですよ」
賑やかな晴天の下三人でお弁当を食べた。 「あっ!!今日の優ちゃんのお弁当は手作りなんだ。良いなぁ〜」
「そうゆう。有栖のお弁当はお母さんご自慢の弁当じゃない」
「へへ、良いでしょ。村尾君のお弁当どんなの?………うわ!!スゴイ上手に作ってるね。誰が作ったの?」
「内緒です」
等と盛り上がったりしたがお昼を食べ終わったあたりから、だんだんと村尾君の体調が悪くなっていった。

「無理に外に出して、ゴメンね」
「いいえ、謝る必要はないですよ。こちらも楽しめましたし。ありがとうございます。少し寝ますね」
「うん、ゆっくり寝ていいよ」
耳にイヤホンをして音楽を聴きながら村尾君は眠った。五分した頃には寝息が聞こえだしていた。
(ふふ、可愛いなぁ。あっ!!氷替えてあげよう)
氷を入れ替えた以降特にすることもなかったから私もまた眠くなってきたから寝ようと思ったら何処からか切れ切れの言葉が聞こえてきた。
「…や…て…ゴ……ン…た…け…」
(村尾君?泣いてる?)「…だ…れ……た……す………て」
泣きながら言う寝言だからあまり良い夢は見ていないなと思ったから村尾君を起こした。「起きて、村尾君!!どうしたの村尾君!!」
「…………高見さん?………すみません、何か迷惑かけたみたいですね」
「そんなの気にしないでよ、どうしたの?泣いてたけど」
「何でもないです………体調も良くなってきたのでそろそろ帰りますね。それじゃまた明日」
「あっ!!待って村尾君」
呼び止めようと声をかけた時にはもう既にいなくなっていた。
(何で?泣いてたんだろう)


これが初めて村尾君のキズを見た瞬間だったのかもしれない。その時の私はまだ村尾君が心にキズを負っていることすら知らなかった。


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