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恋する日々
【学園物 恋愛小説】

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恋する日々〜消えぬライラックと生い茂るノコギリソウ〜前編-9

昼休みが終わり競技が再開された。第拾参競技、戦が始まろうとしていた。
『この競技は通常の配点の5倍とする。後半の競技がどこの組も得点を獲得をしていない事もある』
「よく言うもんだよ師範も…あんなんで点が取れるかっつーの」
遡る事30分前、競技は再開されたが競技内容は前よりも特殊なものになっていた。
大玉転がし
大玉といっても紙や綿などで作ったハリボテではなく、純度100%鉄で作られた重さ1tの鉄球であった。
「ぬがぁぁぁぁ!!」
「こんなん動かせるかっ!!」
騎馬戦
三人が腕を組みやぐらの様な形を作りその上に一人乗り互いの鉢巻きを奪い合う競技。それが普通ではあるがこの競技の場合は本物の馬を使った。
「ヒヒーン!」
「ブルルルルッ!!」
「………」
「乗れるかっ!!」
等々…異常な競技内容により誰もが棄権をせざるを得なかった。
『情けない…日本の漢ならばこれくらいの事できるであろう』
「いやぁ…馬は頑張れば乗れそうだが大玉は無理だろ…」
「あんなもん持ち上げれるの師範しかいねぇ…つか他にいたら引くわ」
生徒内での最高記録は参組の三人の結果5?だった。
『故にこの競技の内容は至ってシンプルにした。限られた空間内でこちらから支給する武器を用いて自軍以外の敵を殲滅せよ、それだけだ!』
「できるならもっと早くそうしてほしいもんだ」
「工藤、学園長に何を言っても無駄だ。それより武器の確認をしろ」
この競技、戦のルールをもう少し詳しく説明をすると、クラス内から選抜された5人の生徒が代表となり戦う。一番最後まで誰かが残るまでは終わらず、それは味方がいても同じである。配点は最後に残った5人それぞれに与えられる。故にこの競技は最後までより多くのクラス代表を残させたクラスが有利になるのである。
「俺は大丈夫だなっと…しかし、お前さんが出るとはなぁ」
「あ、うん。こういうのは苦手なんだけど…どうしても出たかったんだ」
参組の代表選手は誠、信太、礼、カッペー、そしてこの加藤圭一だった。圭一はクラス内ではあまり目立たない平凡な存在だった。だがある日、突然生徒会に入り多忙な日々を送っている。誠が知っているのはそのくらいの情報だが、入学当初より圭一が随分変わった感じがしていたのは知っていた。
「そっか、まぁ理由はあえて聞かないどくさ。俺等参組の強さ見せてやろうぜ!」
「うん、頑張るよ!」
『それでは諸君!トラック内に入れ!』
源一郎の言葉に従い代表生徒がトラック内に入る。全員が全員一位になるチャンスなのでギラギラと目を血走らせていた。誠はスタンダードな剣タイプを2本、信太とカッペーは大型の剣タイプ、礼は双槍タイプ、圭一は小型の剣タイプを握りしめ合図を待つ。
『始めぇぇぇい!!!!』
開戦の合図が出される。それと同時に近くにいた代表生徒達に囲まれる。その運動能力を先の競技で目の当たりにし聞いていた以上のものだとわかり早々に退場させるべきとふんだ各組による作戦であった。
「いきなり囲まれたか…神那、どうする?」
「邪魔な奴等はぶっ潰す!」
「そのとおり!」
「ふぅ…お前に聞いた俺が馬鹿だった」
「行くぜぇ!!」
その言葉を合図に5人は一斉に敵に向かい走り出す。
「さっ、参組を潰せ!」
「そうだ!数ではこっちが上なんだ!」
取り囲んだ生徒達は一瞬戸惑ったが直ぐに対応し誠達に攻撃をする。
「ふっ…甘ぇ!」
「いくら数があったって…中身が違いすぎるんだよ!」
真正面に走っていった誠と信太は相手をものともせず薙ぎ倒していった。
「ぐぇぇ!」
「ぶはっ!」
支給された武器は握る部分以外はゴムでできていたのでそれほどのダメージはない。しかし、ゴムとはいっても一般青年以上の筋力を持つ二人の攻撃は一たまりもなかった。攻撃された生徒は次々と地面に沈んでいった。誠は左手の武器を逆手に持ち相手の攻撃を受け流し、右手の順手で持った武器でがら空きになった相手の体に攻撃をする。信太は両手で武器を持ち力任せに振り回していた。それに加え長い付き合いの二人だからできる阿吽の呼吸でお互いをフォローし合っているので誰もが二人の前で散っていった。
「信太、荒らすぞ!遅れるなよ!」
「こっちのセリフ!」
そのまま二人は振り返らずにその場を後にした。


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