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恋する日々
【学園物 恋愛小説】

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恋する日々〜消えぬライラックと生い茂るノコギリソウ〜前編-10

「……はっ!」
「ふんがぁぁ!」
「やっ!」
後に残された三人は互いに背を向けて背後からの襲撃を防ぎながら戦っていた。礼は状況によって持ち方を変え円を描く様に相手を薙ぎ払う。圭一は相手の攻撃を紙一重で避わし一瞬の隙を狙い、カッペーはバッターの様に力の限りスイングしながら礼に続く。こちらは付き合いこそは短いが確実に互いのフォローができ始めていた。
「あの馬鹿供め…勝手に進みすぎだ」
「あの二人なら大丈夫だと思うよ?」
「んだ、こいつら倒して合流ばすればよか。にすても…柳も大変だな」
「……もう慣れたさ」
圭一とカッペーは苦笑をするしかできなかった。今ここに新たな友情が生まれた。


「おい誠…!走り回って、敵倒すのは構わんが…!ちゃんと、考えてんのかよ…!」
礼達と別れた後は他の生徒が争っている場に行き全員を倒す、それを繰り返していた。それにも関わらず誠は息切れ一つしていなかった。そんな誠を見て、もう少し体鍛えようかな、と信太は内心そう思った。
「考えてる!新崎のヤツ捜してんだよ!あいつら先に潰しとかなきゃ点差が縮まらん!」
「成る程、ならちょうど…参組の応援席が近いから…一応聞いとこうぜ…!」
「んあっ!?あぁ…そうだな」
参組の応援席に行く…それは当然香織達がいる。なんでもない、ただ新崎がどこにいるか聞くだけ…それだけなのになんで緊張してんだ…?さっき飯食ってた時はなんでもなかったのに…
誠はまだ自分の本当の気持ちに気づいていなかった。また信太も友人の悩みには気づかなかった。
「お〜い」
「あっ工藤君、凄い暴れっぷりだったね。それでどうしたの?」
「あぁ、新崎のヤツの場所わかるか?」
「そういえば全然見ないな、どこにいるんだろう?」
その場でキョロキョロと新崎を捜すが見つからなかった。
「…!神那君、工藤君危ない!」
突然あやなが叫ぶ。その言葉の意味を察して誠と信太は左右に飛ぶ。僅かな差で二人が立っていた場所に大型の武器が振り下ろされた。
「ちっ…避けられたか」
後ろを振り向くとそこには2m強はある筋骨隆々とした男がいた。
「たしか…3年生の武曽里先輩か…!」
「少し調子にのりすぎだな…俺様がぶっとばしてやるよ!!」
そういうと再度武器を振り下ろす。
「はっ…!」
「くっ…!」
紙一重で避けるが土煙が上がり地面には大きな窪みができていた。
「…喰らったら死ぬかもな」
「当たらなきゃいいだけだ。それにそれほどスピードがあるわけじゃない、イケるぞ!」
武曽里の攻撃は力任せに振り回しているだけなので攻撃の軌道が読みやすいものだった。武曽里に比べると二人は小さく小回りもきく方なので攻撃は当たらなかった。
「ぬがぁぁぁっ!!ならこれはどうだぁぁぁっ!!」
またも武器を上から下へ叩き落とす。
「よっ…!ぬがぁぁぁって本当に人間かよ」
「ふっ…!まった…ぐぁっ!?」
「!誠!?」
武曽里は避けた誠を武器を使わずその巨大な足で蹴り飛ばしたのだ。


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