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恋する日々
【学園物 恋愛小説】

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恋する日々〜消えぬライラックと生い茂るノコギリソウ〜前編-8

第四種目玉入れ
『地面に落ちている軟球を拾い籠に入れる、以上だ!ただし、相手チームの妨害は可だ!』
源一郎のルール説明を受けると生徒は目の色を変える。
『始めぇぇぇいっ!!』
競技が開始されると籠を狙わず一斉に相手チームに向かい全力で投げる。
「死ねやぁぁぁ!」
「くたばれぇぇぇ!!」
軟球とはいえ全力で投げているので気絶をするものが増えていった。
『はいはーい!赤い十字マークのヘルメット被ってるのは衛生兵だから当てたら減点だぞー!』
赤い十字マークのヘルメットが競技場をせわしなく動いていた。ちなみに玉を最も入れたのは2年弐組の8個だった。


第八種目棒倒し
「支えてる奴等を潰せ!」
「させるかぁぁぁ!!」
もはやルールを無視した試合が始まっていた。


「…すっごいね〜」
「怪我人が出る理由がなんとなくわかった感じがするね」
所変わって参組の待機場所。ほとんど競技に参加しない女性陣はあまりの壮絶な試合模様に唖然とするだけだった。
「さすがと言うか…やっぱり誠達は難無くこなしてるね」
「神那君変わんないね」
競技の内容が内容なだけに怪我人が続出し、保健教諭だけでは手一杯な状況なので参組は自分達だけで手当てをしていた。そんな中、多少の擦り傷を負いつつも誠、信太、礼は競技をこなしていた。自軍の棒を掲げガッツポーズをしているのが遠くからでも見えた。
「ふぃ〜つっかれたぁ〜」
「お疲れ様神那君、はいコレ」
「サンキュー佐藤」
戻ってきた誠にタオルと特製ドリンクを渡す由佳里。特製ドリンクを一気に飲み干しタオルで汗と汚れを拭う。
「順調だね〜」
「いんや、僅差だが負けてる。さすがは壱組ってとこだな」
「だが、そうでなくては面白くない」
壱組は新崎を筆頭に個々の能力が高く高得点を取っていた。それに加え組の統率も取れているので一位の座を譲らなかった。最初から参組を狙わず、他の組を狙い確実に得点を稼いでいた。
「頑張るのはいいけどお腹が減ってたら頑張れないよ?さぁアタシ達が作ったお弁当食べて力つけて!」
そういうと2つの大きな重箱を取り出す。少し多すぎると思われるサイズだが先日の食べっぷりを見た限りこの量が適度であると判断した結果である。
「うぉっ!こりゃまた凄いな」
「はいはい慌てない慌てない。ちゃんとおしぼりで手を拭いてね。取り皿とお箸配るから、はい」
「それじゃあ…いただきます」
「「「「「いただきます!」」」」」
重箱の中に所狭しと並べられた料理が次々と無くなっていった。それは先日の食事風景を思い出させた。
「うん、うまい!」
「ほぉ…前より腕をあげたな」
「ありがとう!あれからも頑張ってたんだよ」
「はぐはぐ…んがっ!?」
突如奇声をあげ胸を叩く誠。喉に詰まらせてしまったようだ。
「だ、大丈夫ですか?」
「慌てすぎだよ神那君。…はいお茶、これ飲んで」
由佳里は落ち着いた様子でお茶を渡す。誠はそれを受け取り一気に飲み干す。
「んぐ…んぐ…ぶはぁっ!ふぅ…助かったよ佐藤」
「どういたしまして」
そこで誠は以前の様な気まずさが無くなっていた事に気がついた。由佳里は自分を昔からの友達として接している。昔に告白された事を忘れてしまったがどうかはわからないが、それならばこちらも変に意識する必要がなのだと心が無意識にそう感じたのだろう。いつもと変わらない態度になっていた。
「…?どうしたの神那君じーっと見て?」
「いや、なにも…お代わりくれるか?」
「うん、いいよ」
気がつけば由佳里を見つめていた。少し赤くなった顔をごまかす為に空を見上げる。
「………」
その光景をあやなは黙って見ていた。


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