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恋する日々
【学園物 恋愛小説】

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恋する日々〜消えぬライラックと生い茂るノコギリソウ〜前編-11

「てめぇ…!!武器以外での攻撃は反則だろが!!」
「あぁ?スマンなつい足が出ちまってなぁ」
全く悪びれた様子が無い様に豪快に笑う武曽里。
「………おい」
ポンと誰かが武曽里の肩を叩く。
「ハッハッハッ?…あぁん?」
「うらぁっ!!」
武曽里が振り向くと同時に全力の左ストレートが顔面に当たる。
「これであいこだよな?武曽里先輩?」
「おぉっ!!誠!!」
「うぷっ…」
膝をつく武曽里。それを見て意地悪くニヤリと笑う誠。
「んでもって…これであんたは退場だ!!」
誠はそう言うと右手に持った武器をおもいっきり振り下ろした。後頭部に当たり完全に倒れた武曽里はピクピクと痙攣していた。
「えげつねぇやつだなお前は…蹴られた腹は大丈夫なのか?」
「今は大丈夫だ。蹴られた瞬間昼食ったのが出てきそうだったがな…」
「やめろ!汚ぇな!」
「出してねぇよ、あんな美味い昼飯出すなんてもったいない。…特にあの唐揚げは絶品だったな、俺好みの味だったし」
「お〜い、女の子の前でそんな話するのはやめてくれないかな?」
「あぁ悪い悪い」
そう言い少しまわりを見渡す。
「数も減ったな…新崎は後にして礼達と合流しに行くか」
「よっしゃ、行くぜっ!!」
言うが早いか二人は再び戦場へと駆け出したかと思うと誠は立ち止まると振り向いた。
「獅堂、さっきは助かったよ。サンキューな!」
あやなに向け礼を言うと先に行った信太を追い掛けた。
「あっ…はい!頑張って!」
あやなの言葉に応えるように誠は右手を軽く振る。先程までは少し沈んだ雰囲気があったあやなだったが今はその面影もなくとてもいい笑顔をしていた。


「おかしいな…礼達も新崎の野郎見当たらねぇ」
『さぁ!競技もいよいよ終盤!一体誰が学園ナンバーワンになるのかぁぁぁっ!!』
応援席から離れ広いグラウンドを走り続けていたが捜し人を見つけられていなかった。先程までの喧騒が幾分か静まったせいか放送席からの解説の声も今でははっきり聞こえていた。
「嫌な予感がするな。なんかやたら静かだし…早く合流しなく…ってうわっ!?」
足元をよく見なかったために感触からすると恐らくは人であろう誰かにつまずいてしまった。
「っとと…悪い、大丈夫かってカッペー!?」
つまずいてしまった人をよく見ると先程まで一緒にいた人物、カッペーであった。
「誠!!こっちには礼と加藤もいるぞ!!」
「しっかりしろカッペー!!誰にやられたんだ?!」
体を揺すり声をかけるがカッペーは完全に気絶していた。
「…くっ!……その声は神那と工藤か…?」
「礼!?気がついたか、ヤったのは新崎か?」
「違う…俺達が見つけた時は、すでに…」
「新崎じゃない!?じゃあ、誰なんだ…?」
意識を取り戻した礼から事情を聞こうとするが、まだ完全によくなってはいない為に虚ろな目をしていた。
『残りはついに三人!!1年参組の銀髪の悪魔、神那誠か?!同じく1年参組の暴君、工藤信太か?!』

ザッ…ザッ…
その時、二人の背後から足音が聞こえ恐る恐る後ろを振り返る。
そこには汚れ一つない綺麗な体操着を着た右手にスタンダードな刀タイプの武器を持った生徒がいた。綺麗な体操着…それはあの乱戦の中を一撃も喰らわずにいたという証でもあり、かなりの強敵である事を意味していた。
『やはり残ったぁぁぁ!!この競技の優勝候補であり、我らが生徒会副会長!!静かなる武人、柴山凍牙ぁぁぁ!!』
女性陣からの黄色い歓声があがる。柴山凍牙。先の説明の通り鳳凰学園生徒会副会長であり、名字からわかるように鳳凰学園学園長柴山源一郎の息子である。母親に似てとても整った顔立ちをしていて学園の女性陣に大層人気があった。かと言って男性陣に人気がないわけではない。父親が源一郎なだけあり、仁義の心を持っているので多く男性陣からの支持も高く目標とされていた。勉学、武術双方に優れているまさしく優等生なのだ。


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