＝《蒼閃機甲バルトーク》＝ 〜第弐斬「すれ違う告白」〜-12
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夜、美月宅………
「はぁ…………。」
ここでも、ため息をはく人物が一人。
美作美月である。
「蒼真と、帰れなかったな〜………。」
なにげに、いや、かなり楽しみにしているイベント、『周防蒼真との帰宅』が今日は成されなかった。
理由は分からない。
ただ、これだけは事実。
"ごめん、今日は一人で帰りたいから。"
今日、朝に言われた言葉である。
元気がなかったわけではなさそうだった。
ならば、理由は何？
もしかして………他の女子と一緒に帰るとか…………？
「はぁ〜………………。」
そんな事を考えていると、自然とため息が出るのだった。
ついでに鬱にもなる。
「(蒼真………………。)」
蒼真との帰宅イベント………。
小学、中学、高校、と、まったく同じ道を歩んで来た自分と蒼真。
だから、登校、下校は自然と一緒になっていた。
そんな蒼真が、今日、断ったのだ。
自分との帰りを………。
美月が鬱にならないはずがなかった。
思えば、いつからだったろうか？
周防蒼真という幼なじみを意識し始めたのは。
気付いたら、好きになっていた？
いや、今でも忘れない、中学の頃………
"好きです！付き合ってください！"
偶然、とある女子の告白現場を見てしまったのだ。
相手は………蒼真。
その時に感じた、激しい嫉妬の心。
今でも………忘れない………。
その時に気付いた。
自分は…………美作美月は…………周防蒼真が好きなのだ…………と…………。
気付いてしまったら、もう止まらない。
その日から、美月の中で、周防蒼真という存在は"幼なじみ"という、ある一線を越えてしまっていた。
一緒にいるだけで、幸せな存在。
周防蒼真……………。
「(蒼真…………………。)」
自分は………嫌われてしまったのだろうか………？
ならば、理由は何か？
言うまでもない。
自らの中で、すでに答えは出ている。
――――――"この性格"だ。
こんな元気で、快活な性格の自分自身を、美月は決して嫌いではなかった。
むしろ誇りでさえある。
だが、蒼真が、嫌いではないとは限らない。
もし…………嫌いなのだとしたら………？
考えれば考えるほど、悪い方向へと進んでしまう。