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ある淫魔のライフスタイル〜深紅の魔女ミーティ〜
【ファンタジー 官能小説】

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ある淫魔のライフスタイル〜深紅の魔女ミーティ〜-17

17話
(まいったなぁ……)

ジェイドはぽりぽりと頭をかきながら、困った顔をして街を歩いていた。案の定ミーティの大きな喘ぎ声は隣近所に丸聞こえだったらしく、家を出ると近所の連中に散々からかわれてしまったのだ。

(引っ越そうかな……)

半分以上本気でそんなことを考えているうちに目的地にたどり着いた。
巨大な門の向こうにそびえ立つ、いくつもの大きな建物。魔法都市アシュベルの象徴ともいえるアシュベル魔法学校。ここでは何千人という学生が勉学に励み、魔法の腕を磨いている。ジェイドもインキュバスという正体を隠し、人としてここで魔法について学んでいる。
ジェイドは門をくぐると学校の一角にある、巨大な図書館へ向かった。



「コレと、コレ……あとコレも……」

ジェイドが棚から数冊の本を手に取る。その内容はどれも魔法に関するものばかりだ。もっともこの図書館にある本の大半が魔法に関するものなのだが。
ジェイドは席に着くと本を開き、ものすごい速さでページを捲っていく。それは本当に呼んでいるのかと怪しくなるほどの速さだったが、ジェイドの頭は内容の全てを吸収していた。
ジェイドが魔法について学んでいるのは単純な好奇心からだ。
初めは人間そのものに興味を持った。人間より遥かに強い魔力と肉体を持つ魔族。普通なら魔族が人間に敗れる道理はない。
しかし現実には魔族が人間に後れを取ることが度々あった。その理由を知りたくて、ジェイドは人間の観察を始めた。最初は遠くから眺めているだけだったが、次第に人里に下りるようになり、やがて人に混じって生きるようになった。
そして本と初めて出会ったときジェイドは感動を覚えた。そこには人間の歴史・知識・技術・さらには娯楽まであらゆることが詰まっていた。
魔族の世界に本はない。書き記すということ自体ほとんどしない。歴史や技術が口伝によって伝えられることはあるが、ほとんどの場合は一代限りで消え去ってしまう。
魔族と違い永きに渡って積み重ねられた知識や技術。それこそが魔族が人間に後れを取る理由だと気づいたとき、ジェイドは夢中になって本を読み漁り、人間の知識・技術を吸収しようとした。
別段人間の知識や技術を身につけてどうこうしようというわけではない。もっと知りたいという欲求に従っただけだ。自らの欲望のままに動く。それが魔族の姿だ。


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