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=《蒼閃機甲バルトーク》=
【学園物 恋愛小説】

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=《蒼閃機甲バルトーク》= 〜第壱斬「蒼い巨像」〜-7

「これでボーッとしてなければねぇ………。」
「すばしっこいオレなんてオレじゃないよ。ボーッとしてる方が、性に合ってる。」
「そうかもね。でも、実は手加減してるでしょ?」
「え………、してないよ。」
「何年幼なじみやってると思ってんの?他の人には分からなくても、私には分かるわよ。蒼真はもっと強いはず。」
「だから、してないって。」
「はぁ〜あ、もったいないなぁ。全国とかいけるはずなのに。ま、そういう事にしといたげるわ。………あ、あとさ。」
「え?」
「リストバンド、外してみてよ。」
「えっ…………これは……ちょっと…………。」
「それも小さい頃から変わってないよね〜。私にくらい見せてくれたっていいのに………。」

先程も言ったが、蒼真の右腕にはリストバンドがある。
小さい頃から着けているのだが、それを人前では絶対に外さないのだ。
なぜかそれが皆には不思議らしく、―『水無月高校七不思議、その五"周防蒼真のリストバンドの下"』―として登録されているほどであった。
さらに、そのリストバンドが、軽く盛り上がっている辺り、不思議さに拍車をかけているのである。
皆はそれを時計だと認識していた。
蒼真にとっては、そっちの方が都合がいいのだが…………。

「やっぱり、ダメなの?」

美月が聞く。

「う、うん、ごめん。いつかは見せるから。」
「約束だからね。あ、着いた。」

気付いたら、二人はマンションの前に立っていた。
二人はこのマンションに住んでいるのである。

「じゃぁ、また明日ね。」
「うん、また、明日。」

美月はニコッと笑うと、さっさと一階の自分の部屋に入って行った。
その後ろ姿を見つめ続ける蒼真。
そして…………

「幼なじみ………なんだよな………。」

小さく、本当に小さく、言った。


★☆★☆★☆★☆★☆


「ただいま〜。」

七階にある自分の部屋のドアを開ける。

「お帰り、お兄ちゃん。」

台所からの声。
蒼真の妹、【周防和美】。
小学校4年生。
蒼真と同じ紫髪。
小学生であるため、帰りは蒼真より早い。

「ごはん、もうちょっと待っててね♪」
「あ、うん。じゃぁ、先に風呂入っとくよ。」

蒼真は鞄を置き、脱衣所へと入った。

蒼真と和美には両親がいない。
母親は蒼真が小さい頃に他界した。
父親はというと…………事情が複雑なのだが…………行方不明なのだ。
五年前、蒼真達の父親【周防栄作】は、"急用ができた……!すまないが、しばらく家に帰れない!!"と言い、姿を消した。
つい一ヶ月前までは、仕送りだけがきていた。
居場所は分からなかったが、生きている事は明白なので、蒼真は事を荒立てたりはしなかった。
"そういう父親"なのだ。
風の噂では、どこかで発掘作業をしてるらしい。
興味もないが。


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