投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

この道の行く先には…
【エッセイ/詩 恋愛小説】

この道の行く先には…の最初へ この道の行く先には… 5 この道の行く先には… 7 この道の行く先には…の最後へ

この道の行く先には… 〜3.高校2年夏休み〜-2

「なんで俺がわざわざメールするんだよ」
「あ、違うみたいだね。ん?芳賀からだ」
「芳賀って明日香さんの後輩の?」
「うん、そう」
「なんだって?」
「『あの新入生はまだ部活やってますか?』だって」
「あの新入生って…藤堂さんのことだよな?」
「たぶん、そうだよね?やめてないよね?」
「やめてないけど」
「じゃあ、そう返事しとく」
しばらくしてまた芳賀からメールがくる。
「『まだやってたんですね!すぐやめそうな感じだったのに』だって。なんだろうね、そんなこと聞いてどうするんだろ?」
「さぁ?」
私も結城も鈍感であるため、芳賀の行動が意味不明であった。
この行動の真意は1ヶ月後にわかるのだが…。

合宿はいろいろな問題も起こったが成功したと思う。
女子との友好も深められたし、他校にからまれたりもしたが私は無事生還を果たした。
が、気になることが一つ…。
スポーツをやってるときは何故だかかっこよく見えてしまう時があると思う。
私より強いキャプテンは私の目からはかっこよく見えてたのだ。
浮気ではないですよ?!
結城の前でぼそっと「かっこいい」なんて言ったかもしれませんけど。
そんな私を知ってか、最終日のある集合時間に、結城はぼそりと私に、
「キャプテン、髭伸びてる…」
と言った。
確かに伸びてるけど、気付かないふりをしてたのに、なんでそんなこと言うかな、しかも私に。
と思い、もちろん、その言葉は聞かなかったことにしておいた。

合宿が終わって数日後に試合があった。
公式戦ではないが、優勝チームには立派なカップがもらえる。
男女混合(といっても大半が男子)団体戦で丸一日かけて行われる。
私の強運はまだ続くらしく、まぁ団体戦だから私の力ではないと思うのだが、優勝してしまった。
このことが後にとんでもないことを引き起こすのだが…。
結城は部長なので、部員を引き連れてとっとと電車に乗って帰っていった。
この大会は芳賀の学校(A校)も出場していて、私と芳賀は自転車で会場に来ていた。終わった頃には辺りも暗くなってきていて、私は芳賀と帰ることにした。
その帰り道。
「先輩、強いですね」
「そんなことないよ、団体戦だからみんなの力だよ」
「藤堂さんはまだ続けてたんですね」
「うん。あの子、いつも練習頑張ってるんだよ」
「そうなんですか」
「で、なんでそんなに深雪ちゃんのこと気にするわけ?」
「いや、その…」
芳賀は口ごもる。
その様子を見て、私は勘づいた。
どうやら芳賀は深雪ちゃんに好意を持っているらしい。
「あ、そういうことね。協力してあげよっか?」
「ホントですか?!」
「できる限りしてあげるよ」
「ありがとうございます!」
「じゃあ私はこっちだから。お疲れ!」
「はい、お疲れ様です」
そう言って、私たちは別れて、それぞれ帰宅した。


この道の行く先には…の最初へ この道の行く先には… 5 この道の行く先には… 7 この道の行く先には…の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前