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この道の行く先には…
【エッセイ/詩 恋愛小説】

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この道の行く先には… 〜3.高校2年夏休み〜-3

夏休みというのは皮肉なもので、またすぐ試合があった。
今度の大会はこの間より大きい大会であった。
そして―
「なんでA校とB校の近くに場所を取るわけ?」
私は結城に聞いた。
「B校は俺やキャプテンの友達がいるし、A校は…なんでだろうな?」
「ここしか場所がないのはわかるけど…にぎやかすぎない?」
「まぁ…大丈夫だよ!」
そう言って結城はにぎやかな男子集団の中に混ざっていく。
そこで今度は芳賀に話しかける。
「なんかA校の人みんな芳賀と深雪ちゃん見てニヤニヤしてるけど…?」
「みんな知ってるんですよ」
「なるほど。だからうちの学校の近くにいるわけね。会話できるといいね!なるべく機会作ってるから頑張ってね」
そう、うちの学校でこの大会に参加している女子は私と深雪ちゃんだけである。残りの女子部員はお盆休みだそうだ。
というわけで、私がうまくやれば二人は話せるのだが…生憎私はそんな器用な性格ではないためその役は難しい。
まぁ後輩のために頑張るつもりではあったが。
この大会は2日間にわたって行われる。
1日目は個人戦だ。
やはり大きな大会であるため、一番成績の良い人で4回戦敗退である。入賞はしていない。
そうではあるけれど、私が期待していたのは2日目の団体戦だ。
女子は二人しかいないため団体戦には出場できなかったが、男子は合宿での成果が出ればそれなりのところまでいけるのではないかと思っていた。

「あの二人、くっつくといいな」
結城が話しかけてきた。
私は驚いて、なぜそのことを知っているのかを聞いてみると、
「だってあそこで騒いでるから」
もうそんなに広まっちゃったんですか。みんな、そういう話も好きなんですね。
私は途方に暮れた。
マネージャーでもある私は大会2日目も行くつもりであったが、1日目の夜、キャプテンからメールがきた。
『明日大会にきて下さい』
なんだ、このメール?
『なんで?』
私はそう返信した。
『芳賀と藤堂さんをくっつけたいから』
ああ、なるほど。私は理解した。
きっと深雪ちゃんは、私が行くなら大会に行ってもいいと条件を出したのだろう。
『わかった』
そして明日の打ち合わせをして、キャプテンとのメールを切った。
2日目もほとんど同じ顔触れで昨日と同じ場所に陣取った。
もちろんA校もB校もいる。
試合結果を簡単に述べると、うちの学校は私の期待を見事に裏切ってくれて1回戦敗退。
A校とB校も試合は見ていないが1回戦敗退らしい。
強い人の試合を見るのも勉強になるということで最後まで会場にいた。(大半は陰で色恋沙汰で騒いでいたような気もするが…)
結局会場を出たのは15時近く。
これから打ち上げに行くらしい。
何故だかよくわからないけどうちとA校とB校の合同打ち上げをすることになった。
「私たち、帰っていいですか?」
私が周りの人たちに聞くと、「やっぱり女子がいないとつまらないよ!」
などという声が聞こえてくる。
女子がいるのは3校のうち、うちの学校、すなわち私と深雪ちゃんだけであった。
人のことも考えやがれ。
私は渋々頷いた。
4人掛け席で、私の隣りは結城、前は深雪ちゃんでその隣りは芳賀だ。
二人はそれなりに話せているようだ。
まぁこのまま二人にしていても平気そうだな。じゃあ私は結城しか相手にしてくれなさそうだから結城と話すか。
その時の私にとって結城はその程度の存在でしかなかった。
結局私が家に帰ったのは20時だった。


今思えば、私が結城を好きになり始めたのはこの頃ではないかと思う。
その頃、私は彼氏以上に結城と一緒にいた。
部活の差は大きいと思う。
私は鈍感であるため、自分の中で膨らんでいく想いになかなか気付けずにいたのだった。




続く


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