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カーテンと机とつぶれた気持ち
【青春 恋愛小説】

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彼女の視線の先-1

放課後、風に揺れるカーテンに誘われるように教室に目をやった。

俺の親友の席に俺の愛しい人が座っていた。いや、うなだれていた。時折、鼻水をすする音が聞こえた。

泣いてるの?
どこか痛いの?悲しいの?なにが?
心が痛いんだろ?心が悲しいんだろ?

俺は知ってる。彼女がなぜ泣いてるのか。

だって‥‥。

ずっと見てたんだから。
俺はずっと君のこと見てたんだよ。




初めて彼女を見たのは入学式。まわりの人がやけに騒がしいから気になって目を向けてみたら、君がいた。
彼女はフランス人形みたいだった。茶色の流れるような髪、大きな瞳、白く透き通った肌、長い睫毛。
まわりが騒ぐ理由もわかる。でも俺はその時はまだ君に興味がなかった。
あまりに美しすぎて、自分とは違う世界の人のような気がしたから。
それと、そういう人はだいたい自分が一番だと思っていて、友達を作らず、他人を見下すような人ばかりだと思っていたから。


案の定、彼女は一人でいることが多かった。正直、やっぱりなって思った。
友達がいない訳じゃなかったけど、どこか他人と距離を置いている感じがした。

でもやっぱり君が美しいことに変わりはなかった。

体育の時間、俺と彼女のクラスは合同で行なう。
種目はバスケだった。俺はなんとなく彼女がバスケをしている姿なんて想像がつかなくて目で、君を探した。
ちょうどゴール脇にいたとき、君と目が合った。
それだけで俺は動けなくなってしまった。
だからボールが飛んできてるなんて知らなくて、顔面ギリギリでキャッチした。

咄嗟に手を出したため突き指してしまったらしい。そんなに痛くはなかったし、腫れることないだろうと思っていたら彼女がきた。

俺は結構身長があるため彼女は自然と見上げる形になる。いわゆる上目使いの状態になる。
今にも泣きだしそうな顔して

『ごめんなさい。大丈夫?保健室、行こ?』

さっきまで走ってたから頬が少し赤い。潤んだ瞳。
保健室‥。
俺は健全な高校1年生だ。そういう想像をしてしまうのはしかたない。させるほうが悪い。
大して痛くもない指を保護しながら彼女と保健室まで歩く。その間も君は、指が腫れてないか心配してくれた。


どうやら俺は彼女を誤解していたらしい。
彼女に人間らしい感情があることに驚いていた。
人を見下すこともなく、俺の目を見て言葉を発した。

その日から気が付けば目で君を追っていたんだ。



でも見てればわかるんだよ。俺が君を見てるように、君も誰かを見ていたんだ。

よりによって、俺の親友を。

そして俺の親友、奏人も君を見ていた。
俺がいなければ二人は両想いでハッピーエンドだ。


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