投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

Cross Destinyの最初へ Cross Destiny 119 Cross Destiny 121 Cross Destinyの最後へ

Cross Destiny
〜神竜の牙〜C
-25

〈十章 復活の神竜〉

"ギィー"
ヴェイルとレーヴェスとウィンが王座の間に到着した。
そして 全てを理解した。
ルナがアルスの胸中を思い、アルスとフォルツの元に走りだそうとする。
それをヴェイルがルナの肩を掴み、首を横に振って止めた。

それから数分後、王座の間の下から階段を上がる音が聞こえてくる。
そして隠し扉が開くとそこから女性、そう最後の黄泉羽のアシェルだ。
アシェルは静かにフォルツの元に歩いていった。
そしてアルスやルナ達を見回した。
「あなた達の勝ちよ」
そして口を開く。
「黄泉羽は壊滅、兵力も削られ、そして国王も倒された。神竜を復活させてももはやこの国には再び神竜を倒す力は無い。」
アシェルは自分の武器である星石の玉を捨て、降服の意を示した。

そしてホーリーの降伏は連合軍にも既に伝わっておりホーリー兵とリィズ兵も、完全に降服をしていた。
戦闘は終了していたのだ。
「終わったか・・・いやまだ神竜が!」
「言ったでしょ、もはや神竜を復活させても無意味。神竜の生命維持装置は切った、やがて完全に絶命するわ」
「これで・・・全てが終わった」
ヴェイルは剣を収めて黄昏る。
「アルス」
アシェルは突然アルスの名を呼んだ。
アルスは黙ってアシェルの方を向く。

「君はアルベル様が・・・いえフォルツが変わってしまったって思ってるかもしれないけどそれは違うわ」
「・・・」
「フォルツはホーリーに来てからずっと辛そうにしてた、自分がしようとしてることでたくさんの笑顔が失われるだろうことと、戦争を無くさなくてはならないこととの間でずっと苦悩してた。」
アルスはまだ黙って聞いている。
「封印の神子をまるで道具のように扱おうとするアレスター様に怒りを抱いたり、この子が笑うようにふざけてみたり」
アシェルはもう一人の封印の神子を見て言った。
「そして時々、あなたとの思い出を嬉しそうに語ってた。」
アルスはそれ聞き再びフォルツの方を見る。
「もしかしたらあなたに止めてほしかったのかもしれない、自分の使命を抱きながら心のどこかではずっと。
だから城内に兵を置かずあなたと一騎打ちで戦ったんだと思う。」

「フォルツ・・・お前は何も・・・何も変わってなかったんだな」
アルスは淋しそうに、そして少しだけ嬉しそうに微笑んだ。
「フォルツ、私あなたのことを忘れない。あなたからもらったこの本も、あなたとの思い出も」
ルナは涙を流しながら別れを告げる。
そして感情が無いはずの、名もなき封印の神子も微かに涙を浮かべていた。
「フォルツ・・・俺はこの先何があっても負けない。
この名を胸はって名乗れるよう、俺はお前の分まで何度でも立ち上がる。
約束だ」
アルスはそう力強く言うとフォルツの元を離れた。
「アシェルお前はどうするんだ?」
ヴェイルが尋ねる。
「もう私には生きる意味も無い、けどせめて生きれるとこまで生きようと思う、フォルツが抱いていた半分くらいの苦悩はしないとね」
アシェルも目に涙を浮かべながら淋しそうに笑う。
「あなた達に任せたよ、少しでもいい世界にして」
そしてヴェイル達に言った。
「ああ・・・きっとだ」


Cross Destinyの最初へ Cross Destiny 119 Cross Destiny 121 Cross Destinyの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前