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Cross Destiny
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Cross Destiny
〜神竜の牙〜C
-21

「こんな至近距離で聖位呪文なんかやられたら俺達までダメージだぜ、けどこれでもう逃がさねえ!
レーヴェス!!」
ヴェイルの掛け声と共に、4人に見える程の超スピードでレーヴェスがセスを取り囲む。
「刻冥閃・月撫!!」
"ドドドドドドドドドドドドドドドド"
そして無数の連続突きがセスを捉える。
「ぐはあ」
"ズドーーン"
レーヴェスの突きが直撃したセスは吹き飛び、後ろの城門に激突した。
「はあはあはあ、終わったな」
「絶対に戦うなって言われるわけだ」
「恐ろしい強さでしたね」
三人は強敵を倒しホッと肩を撫で下ろした。
「!!」
しかし激突によって発生した、城門前に立ちこめる煙が晴れるとそこにはセスが立っていた。
「馬鹿な!刻冥閃を食らって」
大技を直撃させたにもかかわらず立ち上がり鋭い形相をするセスを見てたじろぐ三人。
「僕にも譲れないものがあってね、残念ながらやられるわけにはいかないよ」
「・・・」
それを聞いたヴェイルがセスに斬り掛かった。
"ギン"
だが受けとめるセス。
お互いに鍔迫り合いをしながら押し合う。
「あの子達のためか」
「・・・・」
「だけどなあ!ジェラルドにはあんな子達がいないとでも思うのかよ!」
ヴェイルはセスに向って叫ぶ。
「仲良く暮らしてる家族だったり、親無くして孤独なガキ共だったり、戦争無くすために必死に頑張ってる奴らだったり。
そういう奴らの命はどうなるんだよ!?お前等にとっちゃ世界のための小さな犠牲でも、死んだやつらにとっちゃそこで世界は終わりなんだよ!!」
「・・・・」
「お前がやってることを、やろうとしてることをあのガキ共が喜ぶのか?
俺だったら悲しいな、すげえ苦しいよ。自分の大好きなやつが自分のために苦しみ続けてるなんてな
死ぬより苦しくてたまんねえよ!!」
"ザシュッ"
ヴェイルの剣がセスを斬り裂いた。
セスは血を流しながらその場に倒れる。
「おまえ、なんで!?」
ヴェイルは訳が解らず、自ら刀を落として斬られたセスに問う。
「ふっ、なんでかな。」
セスは微かに笑みを浮かべた。
「・・・」
「この土壇場で賭けてみたくなったのかもね」
「賭け?」
「こんな薄汚い方法じゃなくて、みんなの笑顔を守りながら世界を変えていく。君たちならそれが・・・できるかもってね」
「セス」
「こんなこと敵の君に頼むのは非常識だけど、一つだけ頼みを聞いてくれないかな」
セスは消え入りそうな声で言った。
そしてヴェイルは黙って頷く。
「あの子達のことを頼めないかな?」
ヴェイルはまた黙って頷いた。
「そうか、よかった。あの子達にはうまく・・・言っといてくれるか?」
「ああ」
「あり・・・がとう」

セスは静かに息を引き取った。

ヴェイルは黙ってセスのまぶたを閉じさせる。
「さあ行こう」
レーヴェスはヴェイルの肩を叩いて言う。
「ああ」
そしてヴェイル達も城門に突入した。


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