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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』(第1話〜第6話)-133

「じゃあ、みんなお疲れ。浮かれて事故って、怪我するなよ。家に帰りつくまでが、試合だぞ!」
「俺たちゃ、小学生かよ」
「若狭、これは冗談じゃねえんだ」
「ああ、わかってる」
 予想もしない快勝に、興奮を隠せない双葉大の面々。そういう浮ついた気持ちが、不慮の事故を起こすことを恐れる雄太は、その当りに念を押した。もしも誰かが、試合に出られないほどのケガをしてしまえば、必死の勧誘も実らず桜子と大和以外の新入部員を得ることが出来なかったため9人しか部員がいない双葉大学は、その時点で“脱落”となってしまう。
「大丈夫だ、屋久杉。俺も、自分の体をこれ以上ないくらい大事なモンに思えるのは、初めてだぜ」
 若狭はそんなキャプテンを安心させるように、そう言ってから家路に着いた。
「それじゃ、行こうか。桜子さん」
「あ、うん」
 めいめいに散っていくメンバーたち。当然、大和と桜子も、その中にある。
「あれ? 桜子、方向が違わねぇか?」
「え、いえ、その、あの……」
「俺たち、今日は蓬莱亭でメシ食おうと思ってたんだけどよ……」
「そ、そうなんですか……」
 関八州大学があるのは、城央駅からバスで10分ほど郊外に向かった場所である。桜子の実家である蓬莱亭は城南町にあるので、本当ならば駅に向かうバス停まで行かなければならないところだ。雄太は、今日は品子と蓬莱亭を訪れようと思っていたので、桜子とも同じ道程になるだろうと考えていた。
 だが桜子は、大和と並ぶようにして、駅とは全くの逆方向に脚を向けている。
「桜子、どっかによるのか?」
「え、あの、あう……」
 試合のときの闊達さが嘘のような、桜子の歯切れの悪さである。
「デリカシーがないわね、雄太。察しなさいよ」
「?」
 援け舟を出したのは、品子であった。彼女は、桜子が抱えているバックの大きさをみて、彼女が何処にいこうとしているのか、既に悟っている。
「あ、なるほど」
 品子の指摘を受けて雄太は、ようやくその意味を介し、にやりと笑みを浮かべた。そういえば、部員名簿に書いてもらった大和の現住所は、“城央市八州区”とあった。つまりは、この近辺に大和は住んでいることになる。
「そういうことか」
 雄太の視線に耐えきれない様子で桜子は、頬を茹らせていた。
「まぁ、ひとつ試合が終わったばかりだからな。次の試合までは2週間あるから、存分にしっぽりしてもらってもかまわねえよ」
 雄太自身、品子とはほとんど同棲しているようなものだが、試合のある週は極力彼女を部屋に泊めないようにしている。2日前になれば、セックスも完全にお預け状態にして、気持ちの臨戦体勢を整えるのだ。
 もちろん、試合が終わった今日はいろいろなことの解禁日であるから、雄太は蓬莱亭で腹を満たした後は、品子を部屋にお持ち帰りするつもりでいる。スキンの補充も万全だ。
「わかってるとは思うけど、けじめはつけてくれよな」
「はい」
 応えたのは、大和であった。
 茹っている桜子とは対照的に、大和は涼しい顔のままだ。今日の神がかり的な活躍が嘘のような冷静さを、保っている。
(格が、違うか……)
 下級生に4番の座を渡した雄太ではあるが、それに頓着するつもりは毛頭ない。また、大和の実力は明らかに突出したものであるとも認めている。
(草薙がいれば、俺たちは絶対に1部にいける。“太公望”を得た気分だぜ)
 賢才を得て天下を制した古(いにしえ)の聖王と同じ興奮を、雄太は感じて止まなかった。


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