Cross Destiny
～神竜の牙～③-21
"ギン"
受けとめるヴェイル、しかし直後、空中から大斧を振り下ろしてくるグレイを確認しとっさにアゼイルを振り払い防御態勢に入った。「くっ」
だが避わすには間に合わない。ヴェイルは双剣を大斧に向けて構える。
"ガオン"
「ぐ・・・あ」
とてつもない衝撃にヴェイルの足が大地へとめりこむ。
「ヒャハハハ死ね死ね死ねーー」
そしてすぐさまアゼイルとグレイが追撃を行った。
「しまっ」
その時だった。
「斬影閃・狼牙！！」
一つの閃光がアゼイルとグレイを吹き飛ばした。
「２対１で押してるぐらいで調子に乗るとは相変わらずみっともないやつだな、アゼイル」
「レーヴェス！！」
突然のレーヴェスの登場に目を丸くするヴェイル。
「約束通りあんたの力になりにきた。
それと今大変なことが起こってる、とっととこいつらを片付けるとしよう。」
「大変なこと？まあ、それはこいつらを片付けたあとだな」
力強く答えるヴェイル、ヴェイルはレーヴェスの助太刀を真に心強く感じた。
「なんでてめえがここに！？」
アゼイルは唖然とする。
「今から死ぬお前には関係ない。」
「てめえ！」
アゼイルの顔から笑みが消えた。
「俺はあそこの『うどの大木』をやる、ヴェイルさんやつを任せられるか？」
「誰に言ってやがる」
「はあはあはあ」
アルスの猛攻に防戦一方のウィン、最後に一つの賭けをしようとしていた。
（通常の呪文ではもうアルスさんを捉えきれない、聖位呪文でないと、しかしもし聖位呪文で仕留めきれなかったら・・・いや仕留める！）
ウィンは力強く杖を構える。
「天空を舞いし 風の王エオル 汝 その翼と共に我に従え 飛び立ち 風を切り裂き 空を切り裂け！
エオルウィング！！」
ウィンは風の聖位呪文エオルウィングを唱えた。
"ゴーーーーーー"
巨大な二つの竜巻がアルスを襲う。
「くっ、うおおお！」
アルスは巨大な二つの竜巻に巻き込まれた。
「やったか・・・ん！？」
「うおーーー！」
しかしその時ウィンは、竜巻に切り裂かれ全身に血をまとわせながら竜巻を突破する一人の男を見た。
そして聖位呪文を放ち、無防備なウィンに斬り掛かる。
「うわああ」
"チャッ"
しかしウィンの首元で剣を止めるアルス。
「なぜ？なぜ止める？」
「・・・これでお前は死んだ、これからは死んだ気になってルンの命を背負って生きることだな
復讐なんかじゃなく。」
アルスは剣を収めた。
「うがあああ」
"ガキン"
グレイの斧を槍で軽くいなすレーヴェス。
「どうした？その程度か？」
レーヴェスのその挑発にグレイは斧に全魔力をこめた。
「バハムートテイル！！」
"ゴガーーーー"
その一撃は大地を二つに割る。
「挑発に乗って単なる大技に走るとは愚の骨頂だな。」
しかしレーヴェスはそれを冷静に避わしグレイの背後に回っていた。
「終わりだ」
レーヴェスは軽く足を跳ねさせた。
「皇華無刃流槍術奥義！
」
「な、これは！」
グレイの周りを超高速で移動し、四人のレーヴェスが取り囲む錯覚をさせる。 「刻冥閃・月撫（つきなで）！！」
無数の突きがグレイを貫く。
「ぐはあああ」
そしてその突きはグレイの命も同時に貫いた。