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崩れる日常
【初恋 恋愛小説】

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新しい日常へ-3

さて、約束の日。
夜7時頃待ち合わせ場所のコンビニに到着。
雑誌を立ち読みしながら池上さんを待つ。
程なくして池上さんが車で迎えに来てくれて、助手席に乗り込む。

…また膝が窮屈だし、シートベルトで首が絞まる…

友達とこの車に残った異変について会話をしたりするんだろうか?
普通ならどうでもいいことまで気になる。だが聞きはしない。

…ちなみに俺は友達とは一切恋愛話や相談などはしないので、この物語りには多分友達は登場しないだろう。

言っとくが友達がいないわけじゃないぞ!?…


「久しぶり〜。また会いましたね〜?」

「この前会ったばっかじゃん!?」

つい二日前だ。
おどけた会話をしながら、車を出す。

着いた店はこの辺りでは一番知られたカラオケ店。
カラオケは俺も得意なので今夜は帰さない、と意気込む。勿論心の中で…
だけど明日は池上さんも俺も学校がある。一応気を使って聞いてみる。

「明日学校大丈夫なの?」
「明日は昼から授業だから。閉店までいても大丈夫だよ。」

ちなみに閉店は朝の5時。今は夜7時半。
本当に帰さなくなるかも…
「そっちこそ明日大丈夫?」

「大丈夫じゃなくても大丈夫。」

と、なんとも取りがたい返事をして部屋に向かう。

二階の隅の部屋に着くとさっそくどちらが先に歌うかジャンケン。
…負けた。
友達でも初めてカラオケに行くと一曲目は緊張するもんだが、今回は別格だ。

いつも歌う曲を入れた。
イントロが流れ出し、やけに渇く喉も気にする余裕もなく歌いだす。
気のせいか必要ないとこまでビブラートが入る…。
要するに声が震える。


なんとか歌い切った…。

「お〜!なかなかうまいじゃ〜ん!」

選曲も終わり聴き入ってた様子の池上さん。
自分では納得いく程でもなかったが、お世辞でも嬉しいもんだ。

池上さんも最初はやはり得意な曲から入ったようだ。
男の俺には真似出来ないような高く透き通った声に心地よく聞き惚れる…。
俺はその声だけではなく他の何かの+αにも心を掴まれていたように思う。
流石自分で得意というだけはある。

ここから俺も負けじと競うように歌い合い二人で盛り上がっていった。

何故か池上さんは採点では一度も俺に勝てず少し拗ねている様子。
ここで小休止を入れてマイクをテーブルにおく。
体育座りで俺に背中を向け相変わらず拗ねたままのようだ。
俺も背もたれに体を預け、天井を仰ぐ格好で休憩をとる。
広い部屋の中はまるでBGMのように薄く流れる音楽を残して静寂に包まれる。少しロマンチックかもしれない。
そして、ただの沈黙でさえ池上さんとだと不思議と居心地がいい。
…池上さんは今どんな事を思ってるんだろう…。


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