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崩れる日常
【初恋 恋愛小説】

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新しい日常へ-1

昨日メールで聞いた場所に迷う事なくついた。
電話を入れて到着をつげる。
池上さんは一人暮しをしているため学校に近い場所にアパートを借りている。
表通りからちょっとだけ中に入った所にある比較的新しいアパートだ。
すぐ横を川が流れている。とても覚えやすい場所だった。
程なくして池上さんが階段を降りてくる。
これから一緒に食事に行くのだ。


何があったか説明すると…
二日程前、バイト中に音楽の話になって、マイナーだが凄くお勧めの洋楽バンドがいるからCD借りたかったら貸してあげると池上さんから言われた。
その時はあまり気にしなかったがその日の夜、日課のメール中にどうにかしてもっと距離を縮めたかった俺は(夜になるとどうにも素直というか、大胆になる。不思議なものだ。)昼に聞いたCDの話を持ち出して、家まで借りに行くと言ったのだ。
すると彼女は車持ちであったし、逆にわざわざ届けに来てくれると言い出した。でも俺としてはCD借りてそのままハイさようなら
とはしたくなかった。
最初から受け身だといざその日に何も発展しない気がしたので、強引に押し切り、家の場所を教えて貰うことに成功。
約束を取り付けて今日に至る、というわけだ。
池上さんからすれば、バイト先で渡せば済むことなのだが……



で、話は戻る。

流石に家に上がる事は、部屋が汚いからという理由で断られた。
期待はしてなかったと言えばはっきり言って嘘だが、その変わりの二人きりの食事も中々魅力的だ。

池上さんの車に乗るのは初めてだ。
少し緊張しながら助手席に乗り込む。女友達のサイズに合わせられているせいか膝が窮屈でシートベルトの位置も低い。
それを自分サイズに合わせながら、この車の助手席に座った「証」のようなものを残したような気になり、少し嬉しくなった。
すぐに表向きの今日の目的であるCDを借りた。
だがこっからが大事なのだ。

池上さんお勧めのイタリアンレストラン(もちファミレス)に向かい出発。
結構遠いらしく片道30分ぐらいかかるらしい。
せっかくなので借りたCDを聞きながら行く事に。
結構いい曲が何曲か入っていた。
要チェックや。
そういえば仕事先以外で会うのは初めてだった。
そういう事を意識してしまうとタチが悪い、ちょこちょこは喋るものの会話が弾まない…。
気のせいか池上さんも機嫌が悪そうに見える…。
マズイ…マズイぞ……実に!
初デート?でこんな危機に陥るとは…。
バイト先だと普通に喋れんのにな…予行演習でもしておくべきだったか…?
そんなふうに一人でヤキモキしてるうちに到着してしまった。

お店に入り席に案内され、窓際の席に向かい合って座る。
相変わらず口数の少ない彼女に思いきって聞いてみた。

「どうしたの??なんか怒ってる?」

「あっ…、ううん。ごめん、今日ちょっと具合が悪くて…。」

何か気に障るような事でもしたか?、との心配は無くなったが彼女の体調が心配になってきた。
やがて運ばれてきた料理達。前菜など順番に持ってきてくれるらしい。
イタリアンは大好物だ。
前菜のモッツァレラをペロリと平らげる。
彼女の様子を伺うとやはり余り進まない様子。
モッツァレラをつついて一口しては窓の外を眺めながら咀嚼する。
せっかく二人きりで会えたのに肝心の彼女の体調が思わしくなく、非常に残念だが彼女が落ち着くようにそっとしておこうと思っていた。
だがメインのパスタがくる頃には少し良くなってきたようで口数も増えてきた。


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