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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『STRIKE!!』(全9話)-46

「ナガミ、中学どこですか? このあたりだと、城南中ですか?」
 問いたださなくても、言い直してくれたのでよくわかった。ご丁寧に、近所の中学の名前まで出して。
「俺は大学生だ! 中坊じゃねえ!!」
「OH!!」
「くわー! てめぇ!!」
 まさか、中学生と思われていたとは。ということは、そんな誤解をしたまま、自分は指導されていたのだろう。これは、ハイティーンの最終年を迎えている男子として限りない屈辱である。
「SORRY,SORRY……」
 それをエレナも知っているのだろう。両手を合わせ、腰を折り、しきりに謝罪を繰り返す。まさに、平身低頭。
「………」
 自分よりも20センチは高い彼女にそんな態度をとられてしまえば、瞬間的に湧き上がった頭も、否応無く冷めるというものだ。
「SORRY……」
「あー、いいって。わかったよ」
「………」
 それでも、顔を伏せたままのエレナ。
「やめろって、なあ。そんなのは、今時の日本人でもやらねえ」
「ゆるしてくれるのですか?」
「許すも、許さないもねえって。まあ、間違われるのは今日にはじまったことでもねえしな」
 ただ、それが中学生というのはいささか強烈だったが。
「ナガミ、優しい人です」
「よせやい」
 ようやく顔をあげたエレナ。なんとなく、陰のある表情は仕方の無いところだろう。
「大学と言うことは、城南大ですか?」
「いや、第二のほうだ。今年から通ってる」
 …ややこしい話だが。
 城南大学は、医学部も付属病院もある大学のことだ。そして、城南と名が付きながら、ここ城南町にはない。街から二駅離れ、さらに山の手の方にある。
 城南町にあるのは、城南第二大学である。設立年はこちらの方が後だから、それならばと、洒落た名前でもつければよかったのに、学校長ならびに理事長はどうしても大学に“城南”の名を冠したかったらしい。共通しているのは、ふたつとも私立大学ということだけだ。
「ナガミも城二大だったのですか!」
 ……も? 
「わたしもなのです」
「そうなのか!?」
 これだけ背の高い女子がキャンパスにいれば、それなりに目立ちそうなものだが。
「留学か?」
 おそらく、その容姿だけを見れば長見の問いは真っ先に出てしかるべきものだろう。しかし、彼は“日本にきて5年経つ”という彼女の言葉を忘れている。
「NON.一般で、一浪して今年入学しました」
「え、それじゃあ」
「ナガミと同級生ですねー」
 “同級生”…その言葉になにやら甘美な響きを感じるのは、何故だろう。
(学年では、ひとつ上って事だろう)
 しかしエレナは、一層の親近感を長見に持ったらしい。なんとなく和やかになった雰囲気は、暖かいものとなって二人を包み込む。
 ぐう、と何か音がした。本人はわかっている。腹の虫がなったのだ。
「ナガミ、おなかすきましたか?」
「う…まあな」
 あまりに大きな音だったので、エレナにも聞こえていたらしい。少し、恥ずかしい。
(考えてみれば、ろくに飯をくってねえ)
 午前中に練習試合をして、午後から一眠りして、夕方以降はバッティングセンターにつめっぱなしだった。その間に取った食事と言えば、コンビニで買ったおにぎり(朝飯)と弁当(昼飯)ぐらいだ。
「わたしも、おなかすきました」
 不意にエレナが長見の腕を掴んだ。
「ごはん、いきましょう」
 一緒に、ということらしい。その勢いに飲まれて、長見はただ頷くしかできなかった。





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