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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『STRIKE!!』(全9話)-275

 申し出は非常に嬉しかった。しかし晶は、亮のために勤しんできた主婦業に支障が出ることを懸念して、始めはそれを断るつもりでいたのだが…、
『家庭で俺を支えてくれるのは、とても嬉しい。でも、晶も、もっと自分だけの時間を持ってもいいんだ。好きな野球を、今度は別の形で出来るチャンスじゃないか』
 という、亮の強い奨めがあって、城南エスペランスの監督になった。なにがしか野球に触れたくなった自分の望みは、隠しようがないところまで来ていたことを、夫はわかっていたのだろう。
 実際の話、主婦業と監督業を兼ねるようになってからは、毎日がより充実したものになった。“好きなことをしている”という満足感が晶の心身にプラスの方向で大きく影響したわけで、その効果を夫が見越していたとするならば、いつでも自分を見ていてくれる優しい彼の心遣いには、本当に涙が出そうになる。
 夫婦仲は非常に円満。まだ子供が出来ていないことが不思議なほど、二人は仲睦まじい日々を送っている。
『デーゲームで行われた千葉ロッツマリンブルーズと近畿ライノルズの大一番は、劇的な幕引きとなりました!』
 誰かが操作したテレビから流れる、プロ野球の結果。早速とばかりに、亮はテレビに釘付けとなっていた。
『近畿ライノルズのマジック1で迎えた最終戦。勝つか、引き分けるかで優勝が決定するライノルズでしたが、しかし、ロッツの主砲・管弦楽のサヨナラ本塁打で敗れ、結果、既に最終戦を勝利で終えていた東鉄ライアンズが首位となりペナントを制しました!』
 近年まれに見る激戦を伝える女性リポーターは、かなり興奮した様子である。
『これで、来週から行われる日本シリーズは、名古屋ドルフィンズと東鉄ライアンズとの組み合わせが決定しました! 圧倒的な強さでペナントを制したドルフィンズの鉄壁投手陣と、最後の最後でペナントを奪い取ったライアンズの粘りの野球がぶつかる日本シリーズが、これから楽しみですね! 以上、リポーターはABS・TVの斉木エミでした!!』
「恵美さんだったんだ」
 今度は晶がテレビに反応した。中継先が切り替わる瞬間に確認したブラウン管には、間違いなく知り合いの“斉木恵美”の姿が映っていた。
「斉木君、元気にしてるかな?」
 同じ学年で、共に“隼リーグ”を戦った盟友・斉木透を思い出す晶。2年ぐらい前に、テレビに映っていたその斉木恵美との結婚通知が来ていたことも、重ねて思い出した。
「海老シュウマイ追加、お待ち! 斉木ならこの前、嫁さんと一緒に来よったで」
 赤木が今度は“蒸し”で調理された海老シュウマイの入った蒸篭をテーブルにのせる。
「相変わらず、尻に敷かれっぱなしやったけどな」
「龍介さん! 5番チャー定、8番ラー定、12番に中華定あがりましたよ!!」
「おおっと、はいな!」
 普段ののんびりとした様子が嘘のような、由梨の鍋さばきと手さばき。そして、次々と仕上がっていくメニューを赤木は、曲芸師もかくやと思わせるほどに、起用にも腕に載せて運んでいく。
(そういう赤木さんも、しっかり敷かれてるけどね……)
 その動きは全て、由梨にみっちり仕込まれたものであることを知っている晶である。
「そういえば……」
 自分の周囲は、“カカァ天下”なカップリングが多い。斉木夫妻しかり、赤木(現姓・蓬莱)夫妻しかり……もっというなら、今は史料研究のために日本を離れている高杉直樹と佐倉玲子の夫婦も、年の違いがあるせいか、奥様に随分と優位権があるように見える。直樹が自ら“佐倉”の姓に変わることを快諾したことも、それを裏付けるひとつの証になるだろうか。
「時節なのかしら……」
 


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