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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『STRIKE!!』(全9話)-23

 記念すべき、晶の初陣の日がやってきた。
 隣接する市営の球場では、先に相手のチームがグラウンドに散って練習を始めていた。
 2部リーグとはいえ、ぶっちぎりの強さで優勝したチームだ。1部リーグの上位チームに比べれば、確かに洗練された動きではないが、全体的にまとまりがある。そして何より、このゲームに勝てば晴れて1部の仲間入りとなるのだから、覇気もある。
 だが、気合という意味では今の城二大の面々も負けてはいない。レギュラークラスのメンバーが抜けて初めての試合であり、敗れれば2部降格という危機的な状況にありながら、実は不安よりも先にこの試合に対する期待感が大きかった。
 ひとつは、ようやく試合に出られるということ。野球好きとはいえ、実力が伴わなかった面々だけに、タナボタとはいえ試合に出られるようになったということは、それだけでまず嬉しいことなのだ。
 もうひとつは、近藤晶の存在。あの、痺れるようなストレートに、相手がどんな反応をするのか楽しみで仕方がない。
「それじゃ、お願いします」
 直樹が相手のキャプテンにオーダー表を渡した。


1番:斉 木(遊撃手)
2番:長谷川(右翼手)
3番:木 戸(捕 手)
4番:高 杉(三塁手)
5番:原 田(一塁手)
6番:新 村(二塁手)
7番:長 見(中堅手)
8番:上 島(左翼手)
9番:近 藤(投 手)



「よっしゃ、いってこいや!」
 後攻めということで、フィールドに散ったナインを、ベンチにいる赤木が大声で送り出した。野球の実力は、折り紙つきで下手ではあるが、ムードメーカーとしては申し分ない男である。


 河川敷以外の球場で誰にも荒らされていないマウンドに立つのは、あの甲子園以来のことだ。
 晶はその頂点に立つと、空を見上げて大きく息を吸い込む。快晴とはいかず、むしろ灰色の空模様でも、なぜか心が弾んでいる。
「近藤」
 そんな晶の様子に、亮は躊躇ったが話し掛けた。
「久しぶりだよ」
「ん?」
「こんなに、野球の試合でドキドキするのは」
 そういって、左手を胸に当てる。
「市営の球場、入れ替え戦……でもね、甲子園のときと同じぐらいすっごい緊張してるよ」
 触ってみる? と、冗談のつもりで言ったが、思いがけず亮の手が胸に添えられた。
「!!」
「おお、ホントにドキドキしてるな………おわ!」
 グラブをはめた右手で、顔を押さえつけられた。その隙間から真っ赤になった晶の顔がにらんでいる。


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