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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『STRIKE!!』(全9話)-206

「エイスケ……エイスケ……」
 一心不乱に乳首を吸う長見の髪を優しく撫でる。母親になったかのような情愛に包まれて、エレナは長見の思うままに乳房を彼に預けていた。
「………」
 不意に、いつか交わした晶との会話を思い出す。そのときに聞いた、長見が幼い頃に亡くなってしまったという彼の母親のことも。
 晶の話では、長見の母親はとても綺麗で、優しくて、暖かい人だったそうだ。長見と同級でまだ幼かった彼女が、そこまで鮮明に覚えているぐらいに…。
 ただ、病弱だったようで、いつも入退院を繰り返し、長見はその度に懇意にしていた晶の家に預けられていたとも聞いた。
 その長見の母親が亡くなったのは、ある雨のひどい夜。晶の家に長見の父親がやってきたかと思うと、幼い彼を抱きしめて泣き始めたのだ。
 始めは大人が泣くことをいぶかしみ、不思議に思っていた晶は、その父親の胸で同じように号泣を始めた長見の様子に、彼の母親が亡くなったということに気づいたという。そして、それがまるで自分のことのような悲しみに襲われて、晶も人目をはばからずその場で泣き出してしまったというのだ。
 それぐらい……晶に伝播してしまうぐらい長見にとっては哀しい出来事だった母親との死別。
「………」
 出るはずもない母乳を求めるように胸に吸いついてくるその様に、エレナはますます愛しさを募らせた。自分のふくらみに、長見が“母”を感じてくれるならば、それは光栄なことである。そして、それが自分以外の誰かであることは、今のエレナには到底許すことなどできない。
(わたしも……エイスケじゃないと、ダメなんですよ……)
 出逢いから1年。深い仲になって半年。しかし、ジグソーパズルのピースのように重なりあった想いは、もう解けることを望まないかのように二人を繋いでいる。
「ん……」
 長見の唇が、エレナの乳首から離れた。随分強く吸われていたことは、その周囲に残る歯形の後からよくわかる。
「もう、いいんですか?」
 優しい笑みは“母”のもの。長見は、今度は吸うことはしなかったが、再びその乳房に顔を深く埋め、押し付けるようにして甘えてきた。
「うふふ……いいんですよ……いっぱい、いっぱい甘えて……」
「………」
 長見はその言葉を待っていたかのように、もう一度、エレナの乳首を口に含んでいた。



「エレナ」
 今度は長見が、湯船の中でエレナを背中から抱きしめた。体格の差があるから、どうもしがみついているという構図に見えるが、互いの温もりに酔う二人には些細な問題にもならない。
「んっ……」
「お前の身体も、洗ってやらないとな……」
 ボディソープを泡立てて、そのままエレナの胴を撫でる。そのまま、背中、肩、腕と念入りにスポンジを動かしていたのだが…。
「あ、あはぅっ」
 そのスポンジを水中に置き去りにして、長見は諸手でエレナの二つのふくらみを揉んでいた。
「エ、エイスケ……えっちですぅ……」
「ん? なんのことだ?」
 とぼける長見。そのまま泡立つ両手でふくらみの根元から絞るように柔らかさを堪能する。泡と張りによって滑る肌の感触が、たまらなくよかった。
「あ、あうっ……は、くっ……んふっ……」
 とぼけていたのはエレナも同様である。こうなることは始めから想像していたし、実は期待もしていた。そのまま抵抗らしい抵抗はせず、長見の思うように乳房を預けている。


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