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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『STRIKE!!』(全9話)-14

「!!」
 羞恥と汚辱感が、晶を襲う。自分の粗相を、赤の他人に舐められるという異常行為に、背筋は更に慄いた。
「おほほほほ! うめえなあ、女のスープってのは!」
 本田は、完全に狂気の世界に入っている。
「さーて、それじゃ、喰っちゃおうかね……」
 そして、股間を張らした本田が迫ってくる。逃げたいのに、動けない。
(タスケテ―――――)
 誰にも届かない願いをかける。
「もしもし」
 目を閉じて、現実から逃避していた晶の耳に、本田のものではない声が聞えた。
「だれだ、てめ………」
 次いで聞えたのは、衝撃の音。きっと、何かを強く叩く音。
「ぎゃっ」
 妙なうめき声。これは、本田のものだとわかった。
「近藤!」
 晶が、顔をあげた。人影が見える。
「あ、アンタ……」
「近藤、立てるか! ……ちょっと、我慢して!」
 呆然として動けないでいたが、その人影に抱え挙げられて、晶は虎口を逃れることが出来た。



「さ、入って」
 公園で晶を助けたのは、月並みだが、亮だ。そのまま彼女を部屋まで連れてきた。
 公園を離れた後、腕に抱えている晶の無残な姿に気づいた。まさか街中で姫様抱っこというわけにもいかないから、自分のユニフォームの上着を貸して着てもらう。ただ、汚れた下半身だけはどうしようもなかったので、とりあえず自分の部屋にきてもらったのだ。
「シャワー、使っていいよ。タオルは、これで……」
 てきぱきと指示する。さすがは、捕手。
「汚れ物は、ポリ袋にでも入れてもらって、近くにコインランドリーがあるから……」
 汚れている箇所が箇所だけに、亮の部屋に備え付けてある洗濯機を使うわけにもいくまい。
「とりあえず、着替えは……俺のユニフォームでいいかな?」
 衣服に無頓着な彼が、自信をもって勧められそうなのは、それしかなかった。クリーニングにかけたばかりで、袋から出してもいないから、晶も抵抗はないように思ったので。
「………」
 晶は、ユニット・バスに入っていった。
 ふう、と亮はため息をつく。
(近藤、ひとことも喋らなかったな………)
 喋らせる間を作らせなかったと言うのもある。沈黙が、恐かったからだ。なにせ、彼女は未遂とはいえ男に襲われたばかりだ。話し掛けていないと、間が持たない。
 しかし、考えてみれば、こうやって、また男の部屋で二人きりのなるのも、彼女の精神衛生上、問題があったのではないだろうか? 冷静な行動をしたつもりだったが、よくよく思い返せば、遺漏が目立って仕方なかった。
(長見君は、何をしてたんだ……)
 彼が一緒にいれば、晶の身に危機が及ぶことはなかったはず。
(まさか、あいつも……)
 その可能性は、多分にあった。

 ザアアア――――――。

 シャワーの音が、やけに耳につく。あのドアの向こうにある、晶の裸体が目に浮かぶ。
(うわ!)
 慌てて首を振る亮。これでは、晶を襲った本田と何ら変わらないではないか。妄想を振り払い、亮はベッドに横たわる。張り詰めていたものが、少しだけ和らいだ。
 そういえば今日は、全打席の勝負に勝つことを誓い、意気込んで朝を迎えたのだった。
(一応、勝負には勝ったけど……)
 まさか、4打席全てが本塁打とは。我ながら、とんでもない離れ業をやったものだと思う。
 目を閉じると、全ての打席が蘇ってくる。特に鮮烈なイメージが浮かぶのは、第3打席。完全に見えなかったはずの球筋が見えたときは、身震いしたものだ。
 そして、別の意味で印象的なのは第4打席。晶はおそらく、勝負を投げていた。


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