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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『STRIKE!!』(全9話)-12

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
 風祭はもう、狂喜乱舞だ。ベンチもまた、自分たちの勝利に、歓声を上げて喜ぶ。
(近藤……)
 ただ、ベースを周りながら、亮だけが釈然としなかった。マウンドに力なく立ち尽くす晶。その周りを、明らかに侮蔑の目で囲む相手チーム。
(くそ!)
 自分で打った本塁打が恨めしくさえ思う光景に、本当に亮は胸が悪くて、吐きそうになった。



「え、お前いかねえの?」
 務は目を白黒させている。今日の大殊勲者である弟は、祝勝会に名をかえた定例の集まりには顔を出さないと言うからだ。
「なんだよ、愛想ねえなあ。主役のいねえ祝勝会なんて、サマにならねえよ」
「兄貴、ごめん」
「まあ、いいぜ。……お前にとっちゃ、嫌な試合だったろうしなぁ」
 務はお調子者だが、相手の心情はわきまえることのできる性格だ。亮には、何も聞かず背中を向ける。
「ありがとよ」
 という言葉を残して、務は去っていった。
(さてと)
 亮にとっては、これからが第二段階なのだ。
 自分に立てた誓い通り、全打席で彼女に打ち勝った。これならば、自信を持って軟式野球部へ勧誘できるし、悪い返事もないだろう。
 晶と長見の姿を探す。しかし、グラウンドには二人の姿はおろか、相手チームも見えない。
「あれ?」
 不意に沸き立つ不安感。亮は、走り出していた。グラウンドの近くにあって、大所帯が寄りそうな場所を探す。
 そして、相手チームのユニホームを着た複数の男を見かけたとき、思わず声をかけていた。
「あんだよ」
 明らかに不機嫌である。しかし、相手が亮だと知ると、不思議なことに少し溜飲を下げた様子になった。
「あんた、すげえな」
「え?」
「いやね、俺たちもよ、あの生意気な小娘にはヘキエキしてたのよ」
「あと、本田さんの強引さにもな。俺たち、あんまり今日の試合は初めから乗り気じゃなかったのさ」
「………」
「いやー、スカッとしたね。4打席連続本塁打なんて、プロ野球の記録だぜ」
 コノヒトタチハ、ナニヲイッテイルノダロウ。…亮には、わからない。
「これで、あの娘もしまいだぜ」
「しっかし、本田さんも、えげつない……」
「!?」
 瞬間、亮は相手の胸倉を掴んでいた。
「おい!」
「うげっ、なんだよ!」
「近藤晶は何処だ!」
「そ、そんなこと言えるか……うぎゃ」
 亮は締め上げる。
「言え!」
「ぐ………わ……わか……やめ……」
 亮は、その腕を離す。息を求めて喘いでいたそのオトコは、絞るようにその場所を口にした。



「ちょ、ちょっと!」
 晶が本田に連れ込まれたのは、城南緑地公園。緑の多い丘に作られたこの公園は、例の河川敷に近い場所にある。敷地も広く、早朝のジョギングコースにも、夕方の憩いの場にもよく使われる。ついでに言えば、夜になるとアオカンの名所にもなったりする。
 そんな場所に連れられた晶は、本田に押し倒されていた。
「けっ、賭け野球の“荒”とかいうわりにゃ、あっさり負けてくれやがって。おかげで、こっちゃ大損だ!」
「お金は返したでしょう!!」
「ばっきゃろうめ! 俺っちの会費はパアになってんのよ! てめえから利子をいただかねえと、こちとら気がすまねえ!!」
 そういって、襟元からユニフォームを引き千切る。胸元のボタンが千切れ飛び、アンダーシャツが顕わになった。


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