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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館〜白い騎士〜-9

『ハイネルシスが夜這いですって………』
『……えぇ、きっと相手はメイドのルネよ………あのこアタックするって………』
…やはり、駄目だったようだ…
あのメイドから伝わったのだろうか?私の朝帰りはメイド達の話題になってしまった。
だが、噂のお相手に姫様が疑われていないのが幸いだった。
『ハイネルシス、ちょっと良いかい?』
隣の席に紅様が座ってきた。
『食べたら、私の部屋に来ておくれ。』
紅様は笑顔だった、どことなく嬉しそうな…

部屋に入ると、椅子に座るよう言われ、指示に従った。
『ハイネルシス…とりあえずまぁ、おめでとう。』
(………?)
紅様の言っている意味が解らず首を傾げる。
『昨晩、クリス姫と一緒だったね?』
ギクッ――
『フフフ…分かりやすいなぁ、君は。
なぁに、そんなことで咎めたいしない。 私は恋人達の味方だからね。』
ポンポンと肩を叩かれる。
全てお見通しですか………貴方様は……
『あぁ、そうそう。 姫の刑がさらに減刑されたよ。
今度は懲役30年、懲役内容はメイドの仕事。
まぁ、花嫁修行みたいなものだね。 もうあの部屋に居る必要も無いから、新しい部屋に移動だよ。』
そして、そっと囁きでこう付け加えられた。
『君と同室で―――』
ボッと顔が赤くなるのが分かる…
『アハハ、ハイネルシス、顔赤いぞ♪』
あぁ…このお方には勝てそうに無い…色々と。
私は深くそう感じた…

かつて姫と騎士の関係であった二人が紅館の中でお妃や沢山のメイド達に見守られながら結婚式挙げ、仲睦まじい夫婦となったのは数ヶ月後の事だった。

紅館〜白い騎士〜





余談

数週間後…
『んむ〜…』
ウェザが机に座り、唸っている。
そして、その傍らにはシャナの姿があった…
『紅様…どうかしましたか? そんなに唸って…』
『いや、今回の件でいろんな人にかなりの借りを作ったからさ。
それの返済に追われているわけ…』
王に無理言ったり、旧友に無理言ったり、教会に無理言ったり…そのお陰で姫と妃が紅館に移ったので、ウェザとしては後悔していないのだが、中々返済が大変なのだ。
皆、お金での返済を求めていない。
パーティーに出席しろ、とか、暫く紅館に泊めてくれ、とかならまだ大丈夫だ…
『はぁ〜〜〜』
一枚の紙を見て、溜め息をつく。
『なんですか…?』
シャナがその紙を覗こうとしたのでウェザは慌てて隠した。
『の、覗かない!』
『ご、ごめんなさい!』
ペコリと頭を下げて謝るシャナ…毎回ながら、お決まりですが。
可愛い………
ちょいと指でシャナの顎を上げて、いきなりキスをする。
『ん! ふぅ…ん…』
キスを受けて、早くもトロンとした表情になったシャナを抱きかかえて、寝室に移動した。
――ピラッ。
扉が閉まるとさっき隠した紙が床に落ちた。
紙にはこう書いてあった。
『先の頼みの見返りとして、余の娘と結婚すること ハンバート王』


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