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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館〜白い騎士〜-4

………後日………
『ほら……あれ………』
私は食堂で昼食を取っていたが、どうも周りが気になる。
(……見られているな。)
早くも、魔族ということがバレたか?あの少女が見抜いたのだろうか…?
『…あの白髪…ヒソヒソ………えぇ、魅力的で………』
はぁ………??
今、変な単語があった気がする…魅力的?
ちらりと、声のする方を見るとメイド達が数人廊下から此方を見ていた。だが、私が見たらすぐに隠れてしまった。
(………?)
『やぁ、ハイネルシス、モテてるね。』
紅様が、どこからかやってきた。そう、確かに入り口は今見ていたあそこだけのはずだが…
『モテてる…ですか?』
『ああ、君メイド達の間では人気だよ。君カッコいいからね。』
カッコいい…?私がか?
う〜んと首を捻り、考え込む。
『…もしかして君は自分がカッコいいって気付いてないのか…?』
…そもそも、容姿の良し悪しなんて関係無い生活をしていたから…
『はい、知りません。
紅様がそう仰るなら自分はそう理解します。』
私は普通に答えたつもりだった。だが、紅様は納得していないようで首を捻る。
『ん〜、言い方が固いな…
もっと柔らかく出来ないか?』
そう言われても…王宮では長い間このしゃべり方でやっていたので、定着していたのだ。
『わかりました。 努力致します。』
やはり紅様は私のこの答え方が不満なようだ。
苦笑しながら、話を進める。
『…そうだ、ハイネルシス。
良い知らせだ、やっとアメリスとクリス姫が牢から出る。』
姫様が!!
私は飛び上がるように椅子から立ち上がった。
『正確には、爵士監視下編入、終身刑の場所が牢獄から紅館に変わっただけだよ。』
だが、それだけで大きく違う。私は跪き、紅様に何度も何度も礼を言った。

『ふぅ……完了だ。』
私は今、水竜館の地下に居る。
牢から移される姫様の部屋を作っていたのだ。
紅館に移されても、牢屋に入れねばならない規則らしく、地下にあった部屋を牢として使うことになった。だが、鉄格子があり、人が出れなければ牢。
内装を変えてはいけない規則が無いため、紅様に許可を頂きいろいろと手を加えたのだ。
冷たい石畳は絨毯で覆い、取り付けた鉄格子には図厚い布を張り、外から見えなくして王宮に居たときと変わらぬフカフカで寝心地が良いだろうベットを置き、姫が退屈せぬように本棚を置いた。
『窓が無いのが残念だ…』
元は広めの倉庫を改装したとはいえ、やはり窓が無いため圧迫感がある。
しかし、これは致し方ない…
『あぁ、あとは…花を置こう。』
姫は白い花が好きなのだ。前一度だけ野に咲いていた花を姫に差し上げたら嬉しそうに笑い、花瓶に生けていた。
白い花を一輪、花瓶に生けて机に置いた。
『うん、これだけでも随分と違うな…』
出来上がった部屋を改めて見回す。何か不備は無いかと考えを廻らせたが無いようだ。
(そういえば、お妃様は白竜館の地下に住まわれるのだったな…)
姫と妃を一緒にしないという命令もあったので別の館に用意されたのだ。
(一応…見ておこう。 お妃様のご趣味にあったお部屋にしなければ。)
紅様達だけではお妃様の好みにあった部屋にするのはは難しかろうと思い、白竜館へと足を運んだ。

『……こ、これは……』
私の前には、質素な家具が綺麗に整頓された部屋があった。
(…まさにお妃様のお好みにあっている…)
妃は身分からは想像出来ないほど質素な生活を好まれるのだ。
(しかし…これは…)
机の一角にチェスの一式が置いてある。
(お妃様はチェスなどをたしなまれるのだろうか?)
『ハイネルシス、姫の部屋は出来たかい?』
紅様が笑いながら入ってきた。
『は、はい、終わりました。
…紅様、一つ質問してもよろしいでしょうか?』
『どうぞ。』
『紅様はどこでお妃様の好みを知ったのでしょうか?
この部屋…まさにお妃様の好みにあっていますので、驚いています。』
紅様は机に歩いて行き、チェスの駒を一つ手にとった。
『ん、アメリスはね。 元は紅館のメイドだったんだよ。』
『こ、ここのメイド…!?』
知らなかった…お妃様はとても高貴な雰囲気があり、そのため私はさぞ高貴な家柄だとばかり思っていた。
『両親を亡くして、引き取り手がなかったから引き取ったのさ。
彼女は質素が好み。 あと、結婚してからはやらなかったみたいだけどチェスが大好きなんだよ。
私も何回か彼女とやった。 毎回私が負けたけど…』クスクスと笑い、駒を戻す。
『さて、そろそろ到着するだろうから迎えに行こうか。』
部屋を出て、階段を上っていった。
外は綺麗な青空だった。地下からはわからない空…これから地下で過ごす姫様のことを思うと青空が憎らしい。
(もっと汚くなれ…いっそ、見ない方が良いくらいに…)


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