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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館の花達〜双女花〜-6

だが、結局ゼロを見つけることは出来なかった。
『ど〜こ行ったのかしら?』
…あれ?そういえば私はなんでゼロを探してるのだろう?
『…ん〜、なんでだろ…』
ゼロに会いたいから?ん〜、やっぱりそれかも。
どうも、自分で自覚してるよりも、ゼロに惚れてるのかも………女の子同士だけど。

とりあえずゼロが見付からないので、自分の仕事を始めることにした。
仕事は窓拭き。
火竜館の二階の廊下だ。
この階には、客人用の部屋がある階だが、今は来客は無い。
時々紅様の古い友人が泊まりに来るが最近はあまり来なくなってしまった。
『てか、使わないとこ綺麗にしなくても良い気がする…』
一点の汚れすら無くなるほど念入りに拭きながら窓の外を眺めていた。
窓の外には白竜館が見える。ちょうどゼロの今日の仕事は白竜館だったっけ…
確か廊下の〜………んん!!
白竜館の一階の一室に二人の人が居た。ゼロとシャナだ…
『ゼロ…あ、あいつまたシャナにちょっかい出してる!!』
ゼロはシャナに抱きつき、体を触っているようだ。
『あの……馬鹿!!』
私は雑巾を放り投げ、二人の居た場所まで走り出した。
(あの馬鹿! シャナにあんなことしたら………)
階段を駆け降り、渡り廊下を突っ走り、アルネの執務室の前を駆け抜けて部屋の前に到着した。
『私は…私は…紅様を…ゼロやめて!!』
部屋の中からシャナの声が聞こえる。私はドアを乱暴に開けた。
目に入ったのは、今にもゼロに犯されそうなシャナとそれをしているゼロだった。
『ゼロ!!!』
パーーン!!
ひっぱたく炸裂音と共にゼロが床に倒れこむ。
『…スー…』
シャナがこちらを見ているが私はゼロだけを見据えて、声を荒げた。
『ゼロ!! あなた、自分が何してるか分かってるの!?
…今朝もあれだけ言ったのに!』
ゼロを睨んだまま詰め寄る。
だが、朝とは違い、ゼロの青目は真っ直ぐに見つめかえしてきた。
『スーさん…叱らないで下さい。
私が悪いのです…私が…』(貴方は関係無い…! 貴方がそう思っても、私の気は済まない!)
『シャナ…さん、あなたは出てって…』
『スー…シャナちゃんに教えないといけないことだったんだよ。』
パシーーン!!
再びビンタが炸裂し、ゼロはベットに倒れこんだ。
『スーさん! お願い! 止めて下さい!』
シャナが駆け寄って、私の手を抑えた。
『あなたは出ていきなさい!!』
『行けません!!』
しばらくの間、私とシャナは睨み合っていた。
しかし。
『良いよ、シャナちゃん。
大丈夫だから。』
ベットに寝転がりながら、ゼロはシャナを見ていた。
『でも…』
『大丈夫、大丈夫だからさ♪』
ゼロが笑った。いつものような笑顔で…
それを見たシャナはユックリと頷いた。
『…わかりました…失礼します。』
シャナは私の手を離し、部屋を出て扉を閉める。
しばらく、沈黙が流れた…
その沈黙を破ったのは、私の涙声だった…
『…もう……ヤメテよゼロ!!
あなただって知ってるでしょ?花印ぐらい!』
花印…それは紅様が奴隷達の身の危険を払うために奴隷達にかけた魔法の印。
それは、花印を持つものが危機や危険を感じると発動する呪印…
『あなた…シャナの花印…発動するかも知れなかったんだよ? あなた死んじゃってたかもしれない…』
涙で視界が歪む…ゼロが死ぬなんて、私にはいつの間にか耐えがたいことになっていたのだ。
『でも、シャナちゃんはああしないと… 紅様を愛するなら、あれぐらい必死にならないといけないから…ゼロゼロは紅様の役に立ちたいから…』
『いや!!』
飛び出し、ゼロを抱き締めてベットに倒れこむ。
『お願い…ゼロ…もう私を独りにしないで…』
ゼロの小柄な体をキツクキツク抱き締める。
もう離したくない…
『…ごめんね、スーちゃん、ゼロゼロ…スーちゃんがこんなにゼロゼロのこと想ってくれてるってわからなかった…
初めての時もゼロゼロが一方的にしちゃったし…』
だが、私はそのゼロの言葉をキスで塞いだ。


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