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BLUE
【ファンタジー 恋愛小説】

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BLUE 2 〜衝撃と気持ち〜-1

ドンッ、という衝撃と共に、俺――宮田快斗は宙を舞っていた。
元旦の朝から、トラックに跳ねられそうになった女の子を助けた。
しかし、あまりにも急にその子が飛び出して来たため、突き飛ばすこともできずに、彼女を庇うように抱き締めた。

いつも思うのだが、こうやって跳ね飛ばされたとき等は、時間がゆっくり流れているように感じる。
その間に、どうして俺が危険を顧みず、この女の子を庇ったかをおさらいしておこう。
その1 突っ込んで来たトラックのスピードでは、ほとんどの人が助からなそうだったから。

その2 俺だったら重傷ぐらいで済むだろうし、それも30秒ぐらいで治すことが可能だから。

それだけ…なのだろう。

その2の理由は…
俺が普通の人間ではないから。
俺は、能力者と呼ばれる特殊な力持った人間だから。
人によって様々な力があるが、俺はその中でも肉体強化型と呼ばれる、身体能力や、肉体の回復力に特化した力を持っている。
だが俺はそれ以外にもう一つ、能力を持っている。
それは―時間の逆行。
要は時間を巻き戻すことが出来る。
巻き戻すと言っても、局所的に、1時間程度しか戻すことは出来ない。
しかも、使った後はメチャクチャ疲れる。
俺が重傷の傷を30秒で治せると言ったのは、この能力があるからだ。

と、ここまで考えて、俺はいま空中にいることを思い出す。
特別な状況下では、頭も狂うらしい。


ドスッ、と2度目の衝撃が訪れる。
踏み固められた雪の上に勢いよく落下した俺の体は二人分の加重を受け、全身の骨が軋む。
軋むというか、トラックにぶつかった時点でヒビの入っていた肋骨などは完璧に折れた。
その後も何度も地面をバウンドし、滑っていってやっと止まった。

少女から腕を放し、頭を打ったために混乱したままなんとか能力を使い、傷を元に戻していく。
傷が全て元通りになると、時間を巻き戻したために襲ってきた疲労と脳振蘯により、意識不明の寸前になった。

次にまともな思考が戻って来たのは彼女に名前を聞かれた時だった。

柔らかい、綺麗な声で名前を聞かれ、やっと彼女の顔をしっかりと見る。
綺麗だった。
真っ白な肌にツヤのある少し長めの黒髪。
大きい目でこちらを見つめるその人―神崎 玲奈は、綺麗としか言い様が無かった。



彼―宮田 快斗の第一印象は、なんか、いい感じの人、というものだった。
我ながら、なんだそれ、と思ったけど、彼を見て最初に出てきたのは、それだった。
割と真面目そうで整った顔立ち(血まみれだったけど)と、自然に額にかかった前髪。
そして、ちょっと聴いただけでも安心出来るような声。
パッと見はクールな格好良さなんだけど、話してみると(まだほとんどしゃべってないけど)フレンドリーな感じ。

そして、彼を見た時の私の気持ち。
一目ぼれなんて信じて無かったけど、多分これを一目ぼれって言うんだろう。
でもそんなに激しい物じゃなく、ただ近くにいたい、それだけだった。


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