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Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

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Cross Destiny
〜神竜の牙〜A
-9

「お前はあの後すぐ姿を消したな。
ロイドさんが死んだことで負い目を・・・感じていたんだろ?」
ヴェイルの叫びを聞き、レーヴェスは静かに立ち上がる。
「もういい・・・・もう喋るな」
レーヴェスの目付きが変わった。
氷のように冷たい目、その目でヴェイルを見る。そして槍(エルグライド)を両手で握り構え、体制を低くした。
「斬影閃・狼牙!!」
レーヴェスの槍術がヴェイルを襲う。
「くっ!」
そしてヴェイルの頸動脈をかすめた。
ヴェイルの首から少しだけ血が滴る。
「何を言っても無駄か!」
ヴェイルは双剣(アークディオクロス)を強く握り締めた。

レーヴェスは再び姿勢を低くした。
もう一度 斬影閃を放つつもりの様だ。
そしてヴェイルも両腕を交差しながら姿勢を低くした。
「斬影閃・狼牙!!」
「斬影閃・虎狼(ざんえいせん・ころう)!!」
二つの斬影閃がぶつかり合う。
"ガギーン"
そして槍(エルグライド)と双剣(アークディオクロス)が触れ合った瞬間お互いが弾き飛ばされる。
しかしお互いが瞬時に態勢を立て直し突進する。
「断空閃・白龍!!」
「断空閃・鳳龍(だんくうせん・ほうりゅう)!!」
レーヴェスの十二連続の突きと
ヴェイルの十二連続の斬撃がぶつかり合う。
"ガガガガガガガガガガガカ"
今度は互いにダメージは無く、距離を取り合った。
そしてレーヴェスが片手で槍(エルグライド)を構え、深く振りかぶり
それを見てヴェイルも双剣(アークディオクロス)を深く振りかぶった。
「裂光閃・飛燕!!」
「裂光閃・燕鷲(れっこうせん・えんじゅ)!!」
互いに放った斬撃が波動となって飛び 空中でまたしてもぶつかり合い弾ける。

実力はお互い全くの互角の様で、レーヴェスとヴェイルは攻めあぐねた。
「お前はやっぱりロイドさんを忘れてなんかいねえ。技を見ればわかる」
ヴェイルは再びレーヴェスに語りかけた。
「・・・・」
「言いたいことはそれだけか?」
レーヴェスは一瞬で間合いを詰めヴェイルの腹部に突きを繰り出した。
"ブシュッ"
その突きはヴェイルの腹部を貫いた。
ヴェイルの腹部から血が流れ槍(エルグライド)を伝いレーヴェスの手元まで流れた。
そしてヴェイルは片膝を付く。
「ヴェイル!!」
今までずっと黙ってヴェイルとレーヴェスの戦いを見ていたアルスが叫ぶ。
「心配・・・ねえよ」
腹部を貫かれながらアルスに向かってヴェイルは親指を立てた。
「な、なぜ避けなかった?」
本気で間合いを詰めたとはいえ、避わされるだろうことを想定していたレーヴェスはたじろぐ。
「へ・・・・へへ。」
ヴェイルは笑う。
「何がおかしい!?」
レーヴェスはヴェイルから槍を抜いて言った。
「お前こそなんで急所を狙わなかった?」
どうやら腹部を貫かれたとはいえヴェイルの傷は致命傷には至っていないようだ。
「・・・・・」
「やっぱりお前はお前のままだ。」
「なんだと?」
「無愛想で・・・口数が少なくて・・・でも誰よりも思いやりのあったお前のままだ!」
ヴェイルは立ち上がる。
「でも、だからこそ。俺がここで負ける訳にはいかねえ!!」
ヴェイルの腹部から血が吹き出た。


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