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Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

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Cross Destiny
〜神竜の牙〜A
-35

《「お前の力が必要なのだ」》
(俺は・・・いったい!?)
「フォルツ、もう解ってると思うがお前の力に関係している。」
やっぱりという表情をするフォルツ。
「黒い光呪文、そしてお前が以前見せた銀色の瞳について真実を伝える。」
「銀色の瞳?」
フォルツは不思議そうに聞き返した。
フォルツは賊との戦いで見せた力を自分では気付いていなかったのだ。
「自分じゃ気付いていなかったのか?以前星石を狙う賊との戦いで、お前がキレた時、お前の瞳は銀色に輝いていた。そして物凄い魔力を放出していたんだ。」
「だからあの時、聖位呪文一発でバテちまったのか」
「ああ、恐らくその力に体が慣れていなかったからだろ。」
「教えてくれヴェイル!俺は・・・俺の力は一体何なんだ?」
フォルツが勢いよくヴェイルの両肩を掴む。
しかし次の瞬間港が見えてきた。
「その話はちゃんとする。今はとりあえず目的の場所に向かう。逃げんなよ!」
「逃げる訳ないさ、俺が何者なのか解るならな」
ジェラルド兵に連れられていくのはやはり不安があったがフォルツはそれでも自分の正体が知りたかった。そしてヴェイルに付いていくことを決めた。
アルスとルナもまた。

そして船は港にたどり着く。
港に着きそこからアルス達は再び馬車に乗り込む。
ヴェイルはもうアルス達に手錠をはめることはしなかった。

そして馬車に揺られて数日後、アルス達を乗せた馬車はある場所に到着する。
「こ、ここは!!」
アルス達が驚愕したその場所はジェラルド城だった。
「なんでこんな所に俺達が!?」
ジェラルド城はとてつもなく巨大だった。
数キロ程はあるだろう巨大な壁の囲いの中に巨大な建物。
そしてその周囲を数千人以上の兵が警護していた。
「さ、行くぞ」
アルス達三人を城の中へと誘導するヴェイル。
中に入るのに戸惑うアルス達だったが、ヴェイルの後を追って中に入って行く。
中はやはり広く、多くの兵士達が行き交っていた。
「ご苦労様です」
ジェラルド兵達はヴェイルを通り過ぎるたびに挨拶をする。それを見てヴェイルはジェラルド兵の中でも高い位なのだということが伺えた。

そして城の高価そうな階段を何度も上がり、扉をいくつも過ぎていった所で赤の巨大な扉に辿り着く。
そしてそこを守備している二人の兵士がヴェイルの姿を確認すると、重そうな赤い扉を開けた。
"ギィーー"
「あれは!」
そして扉の向こうにいた人物
それはジェラルド王国国王デェルフェムートだった。「俺に会いたい人って・・・ジェラルドの国王だったのかよ!!」
デェルフェムートは50代くらいの男で白いオールバックの髪、顔には髭を生やしていた。
世界一の大国ジェラルドの国王だ、アルスもフォルツもデェルフェムートの顔くらいは知っていたが、改めて間近で見て、ただならぬ威厳を感じた。
「連れてきたぜデェルフェのおっさん」
突然デェルフェムートに馴れ馴れしく話し掛けるヴェイルを見てアルスとフォルツは唖然とする。
「ははは、悪かったなヴェイル。こんなこと頼めるのはおめーくらいだからな!」
デェルフェムートも明るく返す。
アルスもフォルツもデェルフェムートは冷徹冷酷な男をイメージしていた。
しかし目の前にいるのは明るく感じのいいおっさんだった。
そのイメージとのあまりの違いにアルスとフォルツは戸惑いを隠しきれなかった。
「"漆黒の竜人"を連れて帰ったか、さすがだなヴェイル」
今までデェルフェムートにしか目が行かなかった三人はデェルフェムートの隣に一人の剣士がいることに気付いた。
その男は長髪で左目に黒の眼帯、肩に巨大な大剣を背負っていた。
ジェラルド国王護衛兵隊長ヴェザードだ。


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