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Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

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Cross Destiny
〜神竜の牙〜A
-25

「断空閃・鳳龍!!」
ヴェイルの高速の連続剣がケルベロスの体を切り刻む。
ケルベロスは
"ウオオーン"
とおたけびをあげて絶命した。
「おい大丈夫か?」
フォルツが心配そうに女性に話し掛ける。
「ちょっと!恐かったじゃない、早く助けなさいよ愚図!!」
その女性はフォルツに怒声をあげた。
「てめっ、助けてもらっといてその態度はねえだろ!」
「ふん!」
その女性はなぜか不貞腐れる。
「おい、気を抜くな!ケルベロスは必ずフェンリルに率いられてる。さっきのおたけびを聞いて来るぞ。」
ヴェイルは警戒を促した。
「お、おお」
「フェンリルはあのレーヴェスですら苦戦した魔物だ!気をつけろよ!!」
「マジかよ!!」
すると直後白い影が横切った。
「速い!!」
それはフェンリルだった。
「だが一匹しかいないラッキーだ!!」
ヴェイルがフェンリルに向かって双剣(アークディオクロス)を振るった。
しかしその剣の先にはフェンリルはいなかった。
「くらえ!!」
アルスも続いて斬撃を放つがフェンリルは軽々と避わす。
そして距離を取るとフェンリルは毛を逆立てた。
「くるぞ!!」
"オォォ"
という鳴き声を聞いた直後四人は地面から冷気を感じた。
フリーズスティング。氷の上位呪文を放つフェンリル。
そして巨大な氷柱が大地から現れた。
ルナとヴェイルは射程外だったがアルス、フォルツ、女性が射程内にいた。
「ちっ」
アルスはその女性を抱えて避け、フォルツも避わした。
「こいつ上位呪文まで使えるのかよ!」
上位呪文まで使うフェンリルに驚くフォルツ。

「一匹だからそれほど驚異じゃないが普通に戦ってたら長引く。長引けばその人が危ない。
アルス、あれいくぞ!」
フォルツが意味深な台詞を吐く。
「あれって、あれか?あれはやりたくない!」
「そんなこと言ってる場合か!」
「ちっ、わかったよ」
そういうとアルスは空高く跳躍した。
そしてフェンリルはそれを見て構える。
するとフォルツがアルスに杖を向けた。
「グラビティーレイド!!」
フォルツがアルスに向けて重力操作呪文グラビティーレイドを唱えた。
【グラビティーレイドは補助系呪文で対象に重力付加を加える呪文だ。】そしてアルスは剣を構えたままとてつもないスピードでフェンリルに落ちていく。
"ザン"
予想外の攻撃にフェンリルは反応できずに串刺しになる。
しかし同時にアルスは地面に激突した。
「よっしゃあ」
ガッツポーズをするフォルツ。
そしてアルスがむくっと立ち上がる。
「ぺっぺっ」
口に入った砂を吐き出すアルス。
「だから嫌だったんだ、痛いし。」
「大丈夫ですか?」
ルナが心配そうに尋ねる。
「大丈夫、大丈夫このくらい」
フォルツが笑いながら言った。
「お前が言うな!」

「なかなかいい技だな。なんていうんだあれ?」
興味深そうなヴェイル。
「うーんそうだなー
グラビティーストライクってか?」
「勝手に名前を決めるな!二度とやらないからな!!」

「ははは。
そういやアルス、お前剣士のくせに呪文使えるんだな」
「ああ、フォルツに無理矢理習わされてな。炎の下位呪文だけなら使える。」
「へえ」
「あと俺も」
それを聞いてフォルツが杖で近くの岩を殴る。
"ガン"
すると岩が砕かれた。


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