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Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

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Cross Destiny
〜神竜の牙〜A
-23

《五大大陸とは隔離された島 ノルス島の名も無き村で赤ん坊の俺と、一ヶ月後にフォルツが捨てられてるのが見つかった。
その村の人達は俺達を見捨てることはできないものの面倒を見るのは無理だという結論に達したんだろう、俺は村の使われていない小屋に、フォルツも別の小屋でそれぞれ置かれ、担当が変わりばんこに食事を与えにくるだけ。たったそれだけだった。
死なない最低限はする、そんな感じだったな。
まるで犬のような・・・。ああ、あと言葉くらいは教えてくれてたな。
それでも俺達はタフだったんだな、無事に成長して俺が5歳になるころにはなんとか言葉も覚えることができた。
でも俺はこの時までフォルツの存在を知らなかった。無理も無い、一度も外に出たことがなかったんだ。
だが俺はある日一人で小屋の外に出ることを決心した。
鍵はかかってなかった。「別に好きにすればいい」
まるでそんな感じだった。
俺は勢い良く外に飛び出した。
そこは違う世界だった。いつも窓から見ている木、民家、空。全てが別の世界のものに思えた。
感じる風さえも。

そして俺が次に目にしたものは木の下にうずくまって村の子ども達に罵声を浴びせられていたフォルツの姿だった。

「こいつまたいるぜ」
「毎日毎日この木の下でうずくまるだけ。なにがしたいんだよ?」
「気持ち悪いな、こいつあの小屋に住んでるやつだろ?」
「家のかあちゃんがこいつらには近づくなって言ってたぜ。村の厄介者だってさ」
それを聞いてフォルツが俺と同じ境遇なんだということがすぐに解った。
そして俺と同じ境遇のやつが子供四人に囲まれてそんな風に言われてるのを見て、初めての感覚に襲われた。
ああこれがキレるってやつなんだなってな。
俺はそいつらにいきなり殴りかかった。
そしたらそいつらは四人もいるくせに泣きながら逃げていった。
「おい、なんで何も言い返さないんだよ?」
俺がそう言うとフォルツは下を向いたまま口を開いた。
「君はあの小屋に住んでる子?」
「ああ」
「君、ナマエは?」
「ナマエ、名前か?」
「うん」
「・・・・・名前なんて付けられてない」
「そう・・・僕も」
フォルツはまた下を向いたまま言った。
「お前いつからここでこうしてるんだ?」
「一ヶ月くらい前から、朝から夜まで毎日こうしてる」
「なんで?」
「わからない、どうしたらいいか。
一ヶ月前初めて外に出て驚いた、でもそれからどうしたらいいかも解らない。」
どうやらフォルツは俺より一ヶ月前に外の世界を知ったらしい。
ちょっとだけ悔しかった。
「あの子達と、トモ・・・ダチになりたかったけど、やり方が解らない。
だからずっとここでこうしてたんだ。」

「なら、俺となろうぜ」
「え?」
フォルツはそれを聞いてびっくりしたように上を向いたっけ。
「その友達ってやつに。俺とお前似た者同士だからさ」
「うん」
その時フォルツは凄い嬉しそうな顔をしたな。
俺も嬉しかった。初めてできた友達。また世界が変わった気がした。

それから俺とフォルツはよく一緒に出掛けるようになった。
村の店に行ってみたり外に出てみたり。
一緒に遊んだり。
村人の目はやっぱ冷たかった。
ただ本屋のおやじだけは結構優しくて 俺達が7歳になるころ、ある本をくれたんだ。
それは歴史の本、かつてあったという神竜と人との戦争のことが書いてあった。
それを貰ってからは変わりばんこに毎日見た。
俺は神竜大戦で活躍したという剣聖アルスがすっかり気に入って、毎日木の棒を振り回してたっけ。
フォルツにも付き合わせてたけど全然弱くてな。
よく泣かしちまってた。
だけどある日


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