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Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

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Cross Destiny
〜神竜の牙〜A
-15

一方ヴェイルは何やらある船の持ち主と話をしているようだ。
するとヴェイルは話が終わった様で、距離を離して見守るアルス達3人に両手を使って丸を表した。
「おお、さっすが」
ヴェイルに駆け寄るフォルツ達。
どうやら持ち金が尽きていた4人はシーラ王国行きの貨物船に乗せてもらおうとしていたようだ。
そして交渉がうまくいった四人は船に乗り込む。
一時間後船は出発し、アルス達はホーリーを後にした。
「どうしたフォルツ?」
海をじっと見ながら物思いにふけるフォルツにアルスは話し掛ける。
最近妙に元気の無いフォルツを心配していたのだ。
「いや、ちょっと船酔いしてな」
微笑みながら返すフォルツ。

黒の光呪文、そしてホーリー王国の国王アレスターがそれを必要だと言った。
フォルツは色々な思いを張り巡らせていた。
そして思いを張り巡らせていたのはフォルツだけではなかった。
魔物やアルス達の動きを封じた力を持つルナ。
そしてレーヴェスとの戦いで恐るべき力を見せたアルス。

フォルツ ルナ アルス。三人それぞれが自分の得体の知れない力に悩みを抱いていた。

「おい見ろ見ろ、クジラだクジラ!」
しかしその三人をよそにはしゃぐヴェイル。
「呑気なやつだな」
アルスはつぶやいた。

そうこうしている内に船はシーラにたどり着いた。
四人は船の持ち主に礼を言い貨物船は貨物を降ろした後再びそこを後にする。

五大大陸一小さく、五大王国一権力の弱いシーラ。
五大大陸一大きい大陸で、五大大陸一権力の強いジェラルドと丁度正反対の様な国である。
傭兵を始めることにして間もない四人は五大王国の内、唯一訪れたことのない(アルスとフォルツは)シーラに、期待を抱いていた。
しかしそう簡単に仕事が見つかる筈も無く、シーラに来てから初めてと二回目に訪れた町と村では仕事が見つからなかった。
四人は少しだけ不安を覚えながら三つ目の町 アルフェンにたどり着く。
星石、小国のシーラにとって唯一の生命線である。
星石は魔導士の武器として使われるだけでは無く、一般人のアクセサリーや燃料にも使われる高価な石であり、シーラではそれが特に良く取れ、重要な資金源となっている。
また、アルフェンはそんなシーラの中でも特に大きな生産地である。

そしてアルス達はそのアルフェンの町に入る。

アルフェンの町は炭鉱が多く、民家の周囲でもトロッコやツルハシ、スコップなど星石を発掘するための道具が散乱していて、その場所で作業員達が発掘作業をしている。また、その周りには黒い鎧に胸に鷹の紋章を付けたシーラ兵達が警備していた。

アルス達に気付いた作業員達と警備兵がふと近づいてきた。
そして剣を装備しているアルスとヴェイルを見てツルハシやスコップ、剣を構える。
「お前等は星石を狙う賊か?」
作業員の棟梁らしき男がツルハシを向けて尋ねる。
「俺達はただの旅人だ。」
アルスの答えを作業員と警備兵達は最初信じなかったが、アルス達が女性(ルナ)を連れていたので賊ではないことに気付き、持っている器具や武器を下ろした。
「悪かったな、どうやら勘違いらしい」
棟梁が謝る。


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