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Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

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Cross Destiny
〜神竜の牙〜A
-14

〈五章 始動〉

「んで?これからどうするんだ?」
ルーンの塞を後にし、山道を歩きながら不意にヴェイルが尋ねる。
「どうするって?」
それを聞いてフォルツが聞き返した。
「いや、何か行く宛とか目的でもあんのかと思ってよ」
「いや、まったく。本当はシーラに行ってルナの暮らせる場所を探すつもりだったんだが黄泉羽に狙われている以上そういう訳にもいかないしな。」
フォルツにはもう黄泉羽がルナを狙ってくることは無いだろうことは解っていたが、自分がアレスターと接触したことを秘密にしていたので、アルスはそう答えた。
「そうか、実は俺も特に行く予定は無いんだ。もう世界中の遺跡や建物はあらかた調べ終えたしな」
「あんたレーヴェスを探して旅してたんじゃないのか?遺跡調査してるのとか嘘じゃないんだ?」
「ああ、勿論レーヴェスを探すのが第一だったが、それもれっきとした目的だったからな。あれは嘘ではねえよ」
「ふーん」
「それでよ、お前ら特にやることねえんだろ?
じゃあ俺達で傭兵やってみないか?」
ヴェイルの突然の誘いにアルス達は戸惑う。
「傭兵とは?」
ルナは傭兵のことをあまり知らないようで不思議そうに尋ねた。
「だけどルナも傭兵に加える気か!?」
アルスが思い出したように尋ねる。
「ルナは治療担当だ。
こいつより回復呪文うまいやつは見たこと無いしな」
ヴェイルが何気なく言った言葉はルナが一番欲しい言葉だった。
今まで足手まといとなっていた自分が頼られている。そう考えるだけで自信が持てた。
「いいのかそれで?」
「はい」
ルナはアルスの質問に快く返す。
「よっしゃあ決まり!じゃあ今から俺達は仲間な。」
ヴェイルは明るく言う。
「もう全裸になったりするなよ!」
「それは忘れてくれ」


そしてヴェイルの思いつきでフリーの傭兵をやることにしたアルス達は、目的は変わったが最初の予定通りシーラ王国に向かうことにした。         
「傭兵ってのは雇われ兵のことだ。
あるときゃ村に、あるときゃ町に、んで時には国に雇われて依頼された内容をこなす兵のことだ。」
ヴェイルは答える。
「傭兵といっても、そんな思いつきで始めて依頼なんか来るのか?」
「そりゃ腕次第だ。」
「でもよ、面白そうじゃん」
フォルツはまんざらでもなさそうだった。
「だろだろ?」

「そんな簡単に言うな!傭兵と言ったら戦争にも参加することになる」
アルスは楽観的なフォルツとヴェイルに少しだけ怒り気味で言う。
「お前らどうせ適当に旅してただけだろ?金もねえんじゃねえの?」
ヴェイルの言葉を聞きフォルツはアルスに金が全く入っていない袋の中身を見せた。
「うっ」
アルスは図星だった。
「ほらみろ、お前らもいい加減マジメに働かなきゃ駄目じゃないか!」
「あんたにだけは言われたくない。」
「別にいいんじゃないかアルス。今までは適当に魔物を倒して、くれるなら礼金もらってたりしたけど、今度からちゃんと契約して金もらうってだけだぜ。」
「それに仕事だって選べばいいしな。」
「それは・・・・そうだが」
アルスは折れかかった。
アルス達はそこから南に20キロの港にいた。
そこは磯の香りが漂い、目の前には青い地平線が見える。
そして豪華な客船、巨大な漁船、小さな貨物船など数多くの船が並んでいる。
また、それに乗る客や乗組員で賑わっていた。


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